ボクがまだ幼かった頃 2 メダカ編
こんな雨が降る日は思い出すことがある。ボクがまだ幼かった頃、雨が降った後必ず行くところがあった。それは近くの田んぼ。春のモンシロチョウが飛ぶ頃にはシロツメクサやレンゲソウの花がたくさん咲いて、都会の人たちが大勢写真を撮りに来る。ボクはどうしてこんな写真を撮るんだろうって不思議だったけど都会の人たちは言いうんだ。「ここは素晴らしい。こんな所に住んでみたいね」これは大嘘だ。そんな事を言っても住みに来た人なんていない。そんな都会の人のことなんてどうでもいい。レンゲの花が終わると田んぼが耕されて田植えが始まった。田んぼの脇の用水や小さな川から水を田んぼに流し込むと田んぼの色がいっぺんに変わるんだ。田んぼに水が入ると不思議なことが起こる。それはどこから来るのか分からないけどいつの間にかいるんだ。それはタニシやドジョウ、メダカ、ザリガニもいる。もちろんカエルも。それまで硬い土だったのに。いったいどこから。そうか 分かった。ボクは偉大な発見をしてしまった。タニシ、ドジョウ、メダカたちは田んぼの土の中で眠っていたんだ。水を浴びると眠気から覚めて土から出て動き出す凄い力を持っていることをボクは世界に発表しようと思う。