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ゆりんいたりあ日記

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ゆりんいたりあ

ゆりんいたりあ

2021.01.21
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カテゴリ:アート!
昨年の10月にジャンバッテイスタ ピラネージ
生誕300年だったことをご存知の方はあっただろうか。


*私は知らなかった。*
先日イタリアの国営放送RAI STORIAの番組で特集を
やっていたので、画像もそこからいただきながら、
少し話してみたい。

ピラネージは、1720年ヴェネツイア生まれ。
もともとファミリーの出身が、現在のスロヴェニア
内にあるトリエステ近くのピラーナであったことから
ピラネージの名字があるそうだ。
(父方は、石切り工の家系で、母方には建築家がいる)
ヴェネツイアでは仕事を見つけられなかったために、
20歳でローマにやって来る。
ちょうど時代は、ヴェネツイア共和国の最後という時だ。

彼の内心としては、建築家として名を挙げたかった
ようだが、エッチングの方で名をヨーロッパ中に
知らせることになる。
彼の一番有名なエッチングに、カルチェレ 刑務所
名付けられたシリーズがある。


どこにも行けない階段とか、拷問にあっている巨人とか、
私にはかなり怖い場面だが、ここから沢山のアーチスト
がヒントを得ている。
例えば、エッシャー。
それからユースナールのピラネージのメンテ ネラ
*暗い精神*という題の本など。

また、ローマ風景と言われる古代ローマの遺跡のエッチング
は、300年前の遺跡を語るものであり、非常に興味深い。


当時、グランツアーでヨーロッパ中の金持ちがローマに
やって来たときに、これらのエッチングは非常に受けたらしい。
彼の工房は、当時トマテイ館にあったそうで、現在のスペイン
階段からすぐ近くのグレゴリアナ通りになるから、場所的にも
最高のスポットにあったことになる。

また、彼の知られない一面に、考古学者また古物商としての
ピラネージがある。
さまざまな場所で行われていた発掘に参加し、そこで見つかった
発掘品を修復し、ヨーロッパ中のお金持ちに売りつけた。
そこからかなり財産を作ったらしい。
*特にフランスや英国で知られていた彼は、由緒あるロンドン
の古物商会員としても認められる*

最後、ナポリからペストウムに出かけて、マラリアにかかり
58歳でローマで亡くなってしまう。

亡くなる前に唯一、彼が建築家として残した作品がローマに
残っている。
アヴェンテイーノの丘にある聖マルタ騎士団の庭や教会、
また騎士団の建物の前の広場。
彼と同じヴェネツイア出身の法王クレメンス13世の声がかかった
からだ。

有名なアヴェンテイーノの丘の聖マルタ騎士団敷地内
にある、サンタマリア デル プリオラート教会
*ピラネージはここに眠っている*


有名なアヴェンテイーノの穴はここ。
(ブロンズの扉の鍵穴からサンピエトロ寺院のクーポラ
が、騎士団の庭の奥に見えて、素敵)



ピラネージのエッチングは、当時としては革新的なものだった
らしいが、バロック最後のアーチストとも言われる、やはり
ヴェネツイア出身のテイエポロのエッチングの影響を受けている。
テイエポロが描いたエッチングから、ゴヤのエッチングが
生まれてくるのだが、こうして、色んなアーチストが繋がって
来るんだなと思う。
*テイエポロは、スペインの王様に呼ばれて王宮のフレスコ画
を描きにマドリッドに行き、そこで亡くなる*

知人に教えてもらったのだけれども、またギュスターヴ モロ
は、マテイスの先生だが、彼もピラネージの影響を受けている
とか。

私が持っている、1700年代のローマの地図は、ジャンバッテイスタ
ノッリというアーチストが、このピラネージの協力で作成した
ものになる。地図にはベネデット14世の名前がバンと出ている。
つまり、法王様はスポンサー。


短い58年の生涯で、ピラネージが残した業績は素晴らしいもの
だったと思う。

*彼は現在もローマにある、サンルカ芸術アカデミーの会員と
しても認められていた*

トレビの泉の後ろにあるお屋敷ポーリ館は、現在エッチング美術館
になっているのだけれど、そこでピラネージの展覧会が10月半ば
オープンだった。
ロックダウンのために行けず仕舞いだが、出来たらそのうち
是非とも行きたいと思っている。





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Last updated  2021.01.27 22:32:41
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