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カテゴリ:アート!
美術館が閉まっているこの時期は、美術館のオンラインの
講座を、興味深く観たり。 ウフイッツイ美術館は、イエローゾーンにあるトスカーナだから 先日再開したのだが、この美術館も美術史家が作品を説明したり、 同じ経営になるボボリ庭園の庭師が睡蓮の種類を説明したりして、 なかなか便利に楽しく見学。 現在まだ閉まっている、ローマのカピトリーノ美術館の展覧会、 トルローニア家の大理石彫刻展についても、先日から高名な 修復家や美術史家が作品の修復やトルローニア家についての 説明をしてくださるので、やはり楽しく鑑賞。 展覧会自体は、ロックダウン直前にぎりぎりセイフで見ることが 出来ているのだが、私のゲットしたカタログを見ながら、修復の 話などを聞いている。 トルローニア家については、軽くヴィッラ トルロニアで話して いると思うので、興味がある方はまた参照に。 お話しておきたいのは、当時古い彫刻はほとんど修復されて、頭 や腕が付け加えられているということ。 だから、展覧会の彫刻の作品も、見たときに、うわ、すごい修復が 入っていると思ったのは、そういうこと。 さて、今日は展覧会で私が気に入った作品のひとつを紹介したい。 紀元2世紀の棺の浮彫彫刻 場面は、肉屋さん。亡くなったのは左の肉屋さんの奥さん。 そのお隣の女性はお手伝いさん。 殺された鳥や豚がぶらさがっている。 内部の柱は意外に優雅な感じ。 ただ、肉屋さんの奥さんの上半身の大部分は修復されて、 やはり古い彫刻が使われているという。 バラバラ事件ではないけれども、破片で見つかったものが、 修復されているため、後ろの部分は金目のものでつながれて いるが、前からみると、全く分からない。 部分的に足りない部分は付け加えられている。 私がこの彫刻をみてすごいと感じたのは、空間の使い方も 良いけれど、何よりも素材になる肉屋で働く人とその雰囲気。 すぐに思い出したのは、これ。↓ これは、ローマのバルベリーニ美術館にある作品。 1500年代の画家、バルトロメオ パッセロッテイの肉屋の場面。 パッセロッテイは、ボローニャ出身で、例えばタデオ ズッカリ の下で仕事をしていたようだ。アンニバレ カラッチにもつながる が、あまり知られていないかもしれない。 彼のサインとして、絵の中にパッセロット、つまりスズメが描かれる のが特徴。 *上の絵の中で見つけられたら、上出来* アンニバレ カラッチの肉屋の場面 場面はパッセロッテイのものよりも、複雑になり、一番左に 描かれる、肉を買おうと小銭を探している男性は、スイス衛兵。 楽しいと思うのは、綺麗に着飾った貴族ではなくて、民衆が 描かれていること。 肉屋さんを描きながら、そういった職業を卑しんではいけない、 リスペクトが必要だという概念が暗示されているのだとか。 そのために肉屋さんのエプロンは、血で汚れずに白いままで 描かれている。また真っ白いエプロンをつけた肉屋さんは まるで騎士のような感じで立っている。 このアンニバレ カラッチは、いんげん豆を食べる男という 絵でも知られる。絵はローマのコロンナ美術館にあるので、 機会があれば、是非。 *カラッチは、兄弟になるアゴステイーノと、また従妹の ルドヴィコと一緒にボローニャのアカデミア デイ インカミナーテイ(あるいはナチュラーレ)という写実派 のアカデミーを設立したのは、忘れてはならないだろう。 話が随分脱線してしまったが、古代ローマの彫刻が、モダン であったことを改めて感じたりしている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.01.28 18:02:43
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