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カテゴリ:魅力的な人コレクション
偶然、本で見かけた藤田嗣治さんの
「アッツ島玉砕」という絵に呑まれた。 有名な「すばらしき乳白色」で、女の肌や猫を描き、 日本画の技法を油彩に応用したことで知られている画家だ。 祖父より上の年代で、もう故人でいらっしゃる。 日本ではあまり知られていないが、フランスでは有名である。 軍医の息子として生まれ、東京美術学校を卒業し、渡仏。 はいからで激貧な暮らしをパリで送られたらしい。 後に成功を収め、日本、アメリカ、中南米を巡る。 戦火迫るパリを脱出し、帰国。 戦時中は、陸軍から要請を受ける。受けざるを得なかった。 国民を鼓舞するために「戦争画」を描けとのご命令だ。 後に戦争協力の罪で、非難の矢面に立たされた。 彼は、日本を捨て渡仏し、二度と日本へ帰らなかった。 後にフランス国籍を取得。 カトリックの洗礼を受け、「レオナール・フジタ」になった。 「アッツ島玉砕」は、実は戦争画の一つなんだ。 敵味方もわからない描き方で、凄まじい戦を描写している。 軍刀を振りかざす将校の表情は、絶叫そのものだった。 芸術が罪になるなんておかしいよ。 これは戦を鼓舞する絵ではないと感じた。 むしろ、ありのままの戦に肉迫したリアリズムに徹した絵だ。 生の存在の叫びだ。 彼のしたことは間違ってはいないと思う。 彼は石もて追われるように渡仏して、 フランスで生涯を終えた。 流れるような一生。 すばらしい日本人の一人がいたんだ。 藤田さんを思うとき、どうしようもなく義憤を感じる。 なぜか戦争画がアメリカによって持ち去られたらしい。 ベル・エポックの代表的な著名人、藤田さんに 心からの拍手を! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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