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カテゴリ:名作・名言・格言
自分のことしか考えない普通の人、主人公の大学生とミツの出会いは、平凡なデートであった。
田舎育ちのミツは、野暮ったい服を身にまとい現われた。・・・・ 自分の欲望を満たすだけに、愛に似せた言葉で身体を求める主人公の姿は、男のエゴをむき出しにしたものである。・・・・ 物語は大学生であった主人公と、パチンコ店に勤め始めた森田ミツに焦点を当てながら、 人間のエゴの惨たらしさと、ミツが発する高貴な香りが不思議なバランスをとりながら展開していく。 ある日ミツは病院で、腕にある痣が「ライ病」の疑いを持たれ、富士の裾野にある病院へと送られる。 ミツはそこで、多くのライ病に苦しむ人々と出会う。 同室になった人は、気品のある元ピアニストである。・・・ 人生の変転の微妙さに、眼が回る思いのする作品である。 同名の映画作品も制作される。 遠藤文学を不朽の流域へと押し上げた記念碑的作品である。森田ミツこそ、遠藤にとっての現代のマリア様なのであろう。罪と罰の女主人公に並ぶ、日本小説の中の最高傑作となっている。 合わせて、「彼の生きかた」をお薦めしたい。名品である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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