グーとタラの宇宙放浪記 ~ジョンジさんの友人たち~
ピンポーン、ピンポーンジョンジさんのマンションのインタフォンが軽やかな音で鳴った。グーとタラはジョンジさんのマンションにやって来ると地球のシュークリームというフワフワのお菓子とコーヒーというドトーバックス茶に似た飲み物を御馳走になっていた。もう買い物帰りのおばさんの姿などになる必要もなくリラックスできるのがうれしかった。「地球の宇宙標準発展レベルは貧粗なものだが食べ物だけは最高だな。」二人はくだらないテレビ番組を見ながらそう思った。やがてジョンジさんの友達が二人連れだって部屋にやって来た。「ジョンジさん、コナを連れて来たよ。ああ君たちかい新しく地球にやって来て、聞くところによると船を修理して地球から飛び立てそうだって人は。」二人はいきなりべらべら話しまくるおかしな宇宙国家人を見つめた。「俺はグー、こっちはタラ。俺たち双子です。」グーが言った。その男性は答えた。「私の名はピーマス。マグチャ星の出身だ。こっちはコナ。カシゴマ星から来たんだ。ジョンジさんとは3宇宙標準年前に地球に不時着した時に仕事を世話してもらった時からの友達なんだ。」マグチャ星もカシゴマ星もオノ星の近くだから、送って行くにはまったく問題なかった。もっともオノ星とマグチャ星は地球の天文学的な距離単位に換算すれば1014光年、カシゴマ星とは3211光年で、地球の科学では世代を100世代超えてもたどり着く事の出来ない、無限に近い距離ではあったが、宇宙標準発展レベル7以上である宇宙国家の科学レベルではほんの隣同志の星にすぎないのである。通常宇宙国家の領域には距離に関係なく瞬時に通信できる通信HUBステーションが一定の距離で配備されているが、地球のような原始的な星にはカバーされておらず、超古代の電波での通信しかできないので、このような遭難者が宇宙国家に救助の連絡を出来ないでいた。これを機に宇宙国家への救助依頼ができることは地球に住む遭難者全員にとってもありがたいことだった。「ところで君たちの船に僕たち3人と、ジョンジさんのジャスティンが乗っても大丈夫なのかい?」コナは心配そうに尋ねた。「部屋は3つ。他にリビングと小さいけどちゃんとしたキッチンも付いているから大丈夫ですよ。」「ほう、なかなか大きな船じゃないか。」ジョンジさんもタラの言葉を聞いてひと安心したようだった。「で、いつ出発するの?今日?明日?できれば明日にしてもらいたいけど。実は今晩サッカーの試合があってね、どうしても見たいんだ。地球を離れるとサッカーや野球の試合が見られらくなるのが悲しいよ。」ピーマスは言った。サッカーとか野球とか何なのか二人にはチンプンカンプンだったが、二人に共通の思いは、『ピーマスって人、せっかちなんだかのんびりなんだか分からない変なおじさんだな。』ということだった。いずれにしろグーもタラも晴れて地球におさらば出来るめどが立ったのでほっと一安心した。