書を捨てず街にも出よう
本を読む人生とそうでない人生。もちろんどちらを選ぶかは人それぞれではありますが、生徒達にはことあるごとにやはり「本を読もう!」という話をしてしまいます。それはもちろん「本を読むということ」の楽しさを知ってもらいたいのが第一。さらに言ってしまえば「読書しなければ損!」と心から思っているからです。特に若い世代には。その理由の一つは、読書には旬があるということ。主人公が大学生の小説を手に取ったとき、今の私はどうしても自分の学生時代をイメージしながら読んでしまいます。しかし、自分が高校生であったらどうでしょう。まず、「自分の体験していない世界」としてその作品を楽しむことができる。そして時が経った後、「今の自分」そして「過去の自分」を見つめる目で新たに同じ作品に触れることができる。時を巻き戻すことができない以上、「自分の体験していない時間」を描いた作品と触れる機会は時とともに減っていくのです。そして、一生にいったい何冊の本が読めるのかという問題。週に1冊の本を読んだとして、1年間で約50冊。このペースで読書を続けたとして、50年で2500冊。もちろんこれはそれなりの数ですが、文庫本2500冊を本屋の棚で見てみると、それがこの世の中で出版されている書物のごく一部でしかないことが良くわかります。しかも「日本語」という制限がついた上で。ただひたすら積み重ねれば、3畳間程度に収まってしまう量ではないでしょうか?主観的な時間が永遠に続くものではない、と実感してしまうのは、やはり歳をとったということなんですかね。さて、私はあと何冊の本を読むことができるのでしょうか?