ウォール・オブ・サウンド 音壁の世界(1)
THE WORLD OF "WALL OF SOUND"(1)
【 ポップ偏差値 80 】
中島みゆき / 悪女 (2021 ウォール・オブ・サウンド・バージョン) '21 演奏・編曲・プロデュース/@otokabe_master
【原曲】歌・作詞・作曲/中島みゆき 編曲/船山基紀
【2021 ウォール・オブ・サウンド・バージョン】歌/中島みゆき 演奏・編曲・プロデュース/@otokabe_master
往年の大ヒット曲で中島みゆきの代表曲を2021年に新たにウォール・オブ・サウンド・バージョンとして作成したバージョン。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲となります。
ポップ偏差値上限75とその限界を超える音楽にも書きましたが、本曲は約18年かけて1600曲以上紹介してきた当ブログにおける偏差値の上限である75を遥かに超越する偏差値80の曲、つまり個人的には現存するあらゆるポピュラーミュージックの最頂点に立つ史上最強の曲と評価しています。
本曲のオリジナルは1981年に発表されたシングル曲。ジャンル的にはいわゆるフォークソングで、泣かせる歌詞に稀代のメロディメーカー中島みゆきによる日本人の琴線に触れまくりな情緒的でキャッチーなメロディ、アコースティックで繊細なサウンドが特徴的です。また船山基紀氏によると思われるエコー感のあるピアノの音色も大きな魅力となっており、そこはこの曲の持つウォール・オブ・サウンド(音壁)的側面でもありました。個人的にも長年愛聴してきた大好きな曲でありましたが、音壁的側面が垣間見えるゆえに「この曲が本格的に音壁化されたらどんなに素晴らしいことだろう」という想いが長年の間蓄積しておりました。曲自身が長年音壁化を待っていた・・・と考えるのはロマンチック過ぎるでしょうか。(船山基紀氏は本ブログで、やはり音壁なアイドル名曲
「荻野目洋子 / 2Bの鉛筆」と
「若林加奈 / COOL~アナタガタリナイ~」が既出です。)
@otokabe_master氏の手による本曲はオリジナルの静かでアコースティックな曲調とは異なり、超ド派手なウォール・オブ・サウンド仕様。しっかりとしたリズムを刻むドラムとエレキベースが入る点がオリジナルと大きく異なり、一聴すると軽快なロック調です。他にもピアノ、ハープシコード、アコギ、12弦ギター、エレキギター、ストリングス、ティンパニ、グロッケン、スレイベル、カスタネット、タンバリン、ヴィブラスラップ等、高音域~低音域まで幅広く様々な楽器が配備され、将に怒涛の如く分厚い音の壁が迫って来る内容。これだけ多くの楽器が使われているという事実だけでも気合の入り具合がお分かり頂けるのでは.
ピアノが高らかに鳴り響き始まるイントロは、軽やかに響くカスタネットの連打音を伴い実に華やかで、いきなり音壁全開です。基本、切なく胸をうつピアノのフレーズはオリジナルを踏襲していますが、全編通してエコー感たっぷりに様々な表情で軽快に鳴り響き、アコギに取って代わって効果的に主役的役割を果たしています。比較的おとなしめのAメロでは綿密に練られた綺麗に響き渡るカスタネットの音色が実に心地よい。その空間的拡がりのある繊細な響きは音壁の歴史を振り返っても最上位に位置する出来栄え。サビでは、優雅で品のよいストリングスや軽やかでなだらかなピアノ、カスタの連打音などが複合的に絡みあう華麗なサウンドをバックに中島みゆきの存在感のあるヴォーカルが映えます。メロディの出来の良さもありますが、史上屈指の厚い音壁をバックにしても全く引けを取らない彼女の歌声は流石の一言。
そして圧巻なのは、間奏のピアノの切なくも深く心を打つフレーズ。基本はオリジナルを踏襲していますが、迫力のあるドラムやベースの重低音、流麗なストリングスなどの豪勢なウォール・オブ・サウンドを伴い、その相乗効果により実に力強く、華麗に、綺麗に鳴り響きます。それは筆舌に尽くし難い感動的な瞬間で個人的には聴くたびに胸に熱いものが込み上げると共に、ビリリと体に電流が流れてしまいます。私の音楽人生はこの間奏を聴く為にあったのか!とすら感じてしまう程素晴らしい出来で、音壁有史以来最大の聴きどころかと思います。(本曲の記事タイトルを「史上最強の」としたのは、ここでのピアノの力強い響き所以です。)
鬼才フィルスペクターにより創生、発展し続けてきたウォール・オブ・サウンドですが、これまで100点満点に近い音壁はあっても、それが100点満点のメロディと結びつくことは有りませんでした。最高のメロディと最高のアレンジが絶妙な相性でピタリと噛み合う、これは技術の進歩という歴史的背景の元、二次創作だからこそ実現出来たことと言えるでしょう。
@otokabe_master氏による音壁化シリーズは他にもとてつもない作品が複数あります。音源の公開を予定している作品もありますので、どうぞお楽しみに。
(ご参考)
ポップ偏差値上限75とその限界を超える音楽
世界初公開! ビートルズをウォール・オブ・サウンドで The Beatles / No Reply (2024 Wall Of Sound Extended Version)
史上最強のウォール・オブ・サウンド 中島みゆき / 悪女 (2021 ウォール・オブ・サウンド・バージョン)
史上最高のウォール・オブ・サウンド 村田恵里 / オペラグラスの中でだけ (2022 ウォール・オブ・サウンド・ロング・バージョン)
世界初公開 史上最高のウォール・オブ・サウンド Frankie Valli / Can't Take My Eyes off You (2022 Wall Of Sound Long Version)
世界初公開 更に爽快な音壁ロング・バージョン! The Rubettes / Sugar Baby Love (2023 Wall Of Sound Extended Version)
世界初公開! 更に説得力の増したネオアコ音壁バージョン The Bluebells / I'm Falling (2021 Wall Of Sound Version)
世界初公開 ウォール・オブ・サウンドの継承と変貌の浪漫 Glen Campbell / I Love How You Love Me (2023 Wall Of Sound Extended Version)