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カテゴリ:読書感想
<読書感想> この本を読んで、母方のばあちゃんの事が思い浮かんだ。 ばあちゃんのボロアパートには、常に瓶の三ツ矢サイダー が2ケースもストックされていて、私と兄が遊びに行く度に 何本でも栓を抜いて飲ませてくれた。 そう言えば、私と兄が乗った電車を手を振って見送る ばあちゃんを置いて帰るのはとても切なかったな。 あの腰の曲がった小さな背中が、6畳間の部屋にポツンと たたずむ姿を思うとたまらなく後ろめたかった。 島田洋七さんが、7年も共に暮らしたばあちゃんの元を 旅立つ時、私の何十倍も切なくいたたまれなかった 気持ちを思った。 そんなうちのばあちゃんは、今も生きてはいるが、 痴呆症でもう私のことも母のことも分からない。 母に一度「さみしくないか?」と聞いたことがある。 母はこう言った。 「年をとって忘れていくっていうことは、 この世に未練を残さないように。心残りがないように。 後に残した人のことが気にならないように。 だから、これでいいんやと思う。全部忘れていいんやと思う。」 巣立つときも、天に召されるときも、 これから旅立つものと、置いていかれるものがいる。 いろんな思いがあっても、いろんな思いがあるからこそ ずっと一緒にはいられない。 でも、その思いはずっとずっとかけがえのないものと して心に残る。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007/07/21 12:02:45 AM
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