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カテゴリ:読書感想
<読書感想> この本のもつ雰囲気は独特で、でもどこかなつかしい感じがする。 小学校の頃、父が仕事で遅くなる日に、 母と兄と私の3人で外食をした。 うちは田舎で、特別な時以外に外食する文化がなかったから、 本来ならワクワクドキドキするはずのレストランでの食事が 「父がいない」 というだけで、ただそれだけで、 なんだかひどく間が抜けていて、落ち着かない感じがしたことを 今でも覚えている。 たとえそれが疎ましく嫌うべき存在であったとしても、 あるべきものがたった1つ足りないだけで、 足元はすぐに心もとないものになってしまう。 でも、ミーナも伯母さんもおばあさんもみんな 自分の役割を淡々とこなしている。 あの日の私が、楽しそうに振舞ったように。 兄がそれほどでもないピラフをうまいうまいと 言ってムシャムシャと食べたように。 足りないのに 足りないものなんてまるでないかの ように振舞うことは、なんとなく切ない。 だけど、ほんとはものすごく前向きなことではないか そう思えた。 あるべき場所にあるべきものが収まっている。 それは普通のことなのに、足りなくなってから分かる。 それがどんなに心安らぐことなのか。 でも大丈夫。 足りないものなんてまるでないかのように振舞えばいいんだよ。 ミーナは、そう教えてくれる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008/01/10 01:16:36 AM
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