マドンナママの攻防
毎年12月1日は、フレッシュクリスマスツリーを買い求めに行く日。なのに朝から大雨よ。しかも雷さんまでゴーロゴロ。こんなお天気じゃ、車の屋根にツリーが積めやしない。仕方ないやねっちゅーことで、ついに「いつもやろうやろう、やらなくては!」と気になっていたことに着手する決断に迫られた。それはお掃除。お部屋の中の大掃除。まずマスク、そしてアイウォッシュに目薬を準備して、気合いとともに、アラジーピルを飲干します。空気清浄器は、最大マックスに設定よ。クローゼットの鏡ばりドアに、薄っすら積もった埃が憎い。ウィンデックス(アメリカのオールパーパス、ガラスマイペットみたいなもん)を片手に、脚立に昇って拭き掃除。ええい!この埃め埃めっ!で、寝室用の私の胸くらいまでの高さの、フェイククリスマスツリーを組み立ててみました。が、それ用の飾りを取り出すために、私は「開かずの子供部屋クローゼット」を開けてしまった。それがあとの祭り。先日のやっつけた「文房具系クローゼット」を凌ぐ勢いで、そこは凄まじいことになっていた。しばし茫然。耳に届くは、滝のような雨脚の音と雷鳴。私の声にならない悲鳴は、魔空間に吸い込まれていった。で、取り掛かりましたよ、意を決して。まず子等の洋服の類の整理。散らかし放題の紙類の整頓。途中で喉のあたりがゼロゼロいいだし、止まらぬくしゃみに悶絶だ。呼吸が苦しい。鼻水は、ブロークンフォーセット(壊れた蛇口)のようにたりたりたらりんこ。目はカユカユで、できることなら目玉をくり貫いて、酢漬けにしてしまいたいくらい。掃除で汗だくになった私のシャツは、ピッタリと背中にへばりついている。ふと鏡に映った己の姿が、「山姥」を彷彿させていて絶句する。…こ、こんな女に、誰がしたっ。で、途中で何もかもが嫌になった。そこでディナー休憩。子等の力作、「チキンと玉葱だけの、バーモントカレー」でパワー補給。バーモントカレー様様である。たっぷり滋養をいただいた。で、子等の就寝後、一人黙々とまた片づけに精を出す。で、またも汗だく山姥状態で、なりふり構わず一心不乱に、整理整頓の鬼と化した母の姿があったのだ。子等よ、「我が母は聖母なりき」と、英訳したらなんちゅーんだ?まいまざーいず ぐれーとまどんなありゃどんな?んなこといって、フザけている場合ではない。こんな乱れた有り様では、サンタさんはやって来ない。で、気づけばもう、深夜の12時シンデレラタイム。現時点で、ツリーは組み立てたが、何も飾りを纏っていない。「クリ素マスツリー」状態でうら寂しい。で、片一方の「お洋服クローゼット」はなんとか収まったが、もう片一方の「お部屋着クローゼット」は手付かずだ。で、衝撃的なことに、先日片づけた「曼荼羅絵巻き」のようにゴチャゴチャだった文房具クローゼットね、「悲惨なもとのもくあみ状態」に、あっという間に逆戻り。………これがエンドレスに展開するのが、「ザッツ年子育児」である。サンタさんに告げ口してやるぞう!「お部屋目茶苦茶にする子は、マミィは墓場に棄てに行くっ!母の愛で、ワンおにぎりと缶ジュースくらいは持たせてやるからありがたく思うがいいっ…!」などと、私はチャイルドアビュースもかくやというような、暴言を吐いていた。けだし名ゼリフであると自分では思うが、もうこの決めゼリフすら、霊験が薄れてきてしまっている。棄てに行くのは、スクールストリートの古い墓場か、やっぱカハラのジッピーズの隣りの墓場にしよう。子がせつせつと訴えるには、ワンおにぎりではなく、「マクドナルドのマイティキッズミール」が好ましいとか。我が子よ墓場で生き延びろ。多分ダディが迎えに行くぞ。………明日もお掃除は、果て無く続くのであろうか?そんなこんなも、女の修行だと、サンタさんよ言ってくれ。※注意 ほんとうに墓場に子棄てなどいたしますと、子の成長の暁には「姥捨て」の憂き目を見る危険性がありますです。肝に命じましょう。でも、「グレイブヤード(墓場)に行くと、鬼太郎や目玉親父に会えるんだぞうー」とか言っている私って。そして一瞬は、うれしそうな顔する我が子等って。いるのか鬼太郎?ハワイの墓場にっ!