カテゴリ:政治
アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると2024年のハリケーンシーズン(6月1日~11月30日)のハリケーン発生数は85%の可能性で平年以上になると発表しています。ハリケーンは北米(太平洋・大西洋沿岸地域及び南部地域)及び中南米(カリブ海・太平洋沿岸地域)で例年6月から11月頃まで発生する熱帯低気圧の一種で風速が毎時74マイル(119キロメートル)以上のものを指します。 ハリケーンは最も激しい気象現象のひとつであり、上陸すると大きな災害を引き起こす可能性があります。ハリケーンの発生数は平均すると年間で約7個ですが、年によって変動します。例えば2022年の大西洋ハリケーン発生数はNOAAのシーズン前予測の範囲にとどまりましたが、アメリカ本土には3個のハリケーンが上陸しました。そのうちハリケーン「イアン」は過去5番目に強力なハリケーンとなり、フロリダなどに大きな被害をもたらしました。 スイスの銀行最大手UBSの推計によると2023年に南部フロリダ州に上陸したハリケーン「イダリア」の保険請求額は93億6000万ドルに上ると言われています。同州には小規模の保険会社が多数ありますが、ハリケーンなどの災害リスクが増加していることから保険会社の一部は撤退しています。保険会社は再保険料の値上げにも直面しています。森林火災やハリケーンなどの災害多発で保険会社のリスクを引き受ける再保険料は世界的に高騰しています。 日本においても近年、台風などの自然災害は激甚化しており、日本各地で損害が増加しています。台風によって建物や家財に被害を受けたときは、火災保険で補償されます。毎年のように多くの保険金が支払われています。とりわけ2018年および2019年は複数の大型台風が襲来し、業界全体で1兆円レベルの保険金が2年連続で支払われるという異例の事態になりました。 地球温暖化の影響で将来はさらに台風による被害が多い状況に拍車がかかる恐れがあります。 ICPP(国連気候変動に関する政府間パネル)は温室効果ガスの排出状況に応じた、将来の世界平均気温上昇推移シナリオを公表しています。2021年の第6次報告書によれば2021-2040年の間に気温が1.5℃上昇する(1850-1900年を基準)可能性があるとされています。10年に1度発生するような大雨が降る頻度は気温が1.5℃上昇すると1.5倍、2℃上昇すると1.7倍、4℃上昇すると2.7倍も大雨発生の可能性が高くなると見込まれています。 損害保険機構によれば地球温暖化が進むと年間の台風発生数は減少が見込まれる一方、台風の中心気圧が低下して強い台風が襲来することになり、その結果、台風による全体の損害額はさらに増える可能性が高いと考えられています。 アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると2024年に大西洋上で発生する熱帯低気圧のうち命名熱帯低気圧(風速約17m/s以上)となるのは17-25個、このうち8-13個がハリケーン(約33m/s以上)に発達、さらにこのうちの4-7個が非常に強いハリケーン(約50m/s以上)に発達すると予測しています。NOAAの予測ではエルニーニョ現象は収束に近づき、ラニーニャ現象へ急速に移行するとしています。ラニーニャ現象ではウインドシア(風の急変域)が減少し、これに大西洋の海水温の異常な高温、貿易風の弱まりなどが複合して熱帯低気圧の発生・発達が促進します。さらに今期は強力で長期的な大西洋暴風雨を発生させる西アフリカモンスーンが平年以上に活発であると予測されています。 ウェザーニュースは2024年の台風発生数は平年よりやや少ない23個前後と予想しています。また、日本気象協会の独自の予報モデルによると7月~8月は平年並みか少なく、9月から10月は平年並みの発生数と予測されています。本土への接近数は7月までは平年並みが少なく、8月から10月は平年並みか平年より多い予想です。ラニーニャ現象の影響で日本の南の比較的近いところで台風が発生しやすくなり、台風発生から短い期間で日本へ接近する可能性があります。 地球温暖化の影響で自然災害による資産価値損害のリスクが高まっています。保険会社は一部の自然災害を保険対象外に置き、保険金の免責金額を上げる可能性が高まっています。今後、私たちはどこに住み、どう対策するかが求められてきます。自治体にとって自然災害による損害は長期化し、税収も落ちることが続きます。自然災害に備える政治的対応は政治家の評価を大きく左右します。未曾有の自然災害リスクに対しては官民で自然災害への対応に備える必要が高まっています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年07月24日 07時48分45秒
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