「「白紙召集」で散る」 笹 幸恵
「白紙召集」で散る価格:1,680円(税込、送料別)戦争というのは赤紙で召集される兵隊ばかりでなく、白紙で召集される、武器を持たない設営隊も戦っていたのだということを、恥ずかしながら、本書を読んで、思い知らされた。「餓」島といわれたガダルカナル戦を扱った書物は多くあると思うが、設営隊の視点で見たものは少ないのでは。突貫工事で作った飛行場を、友軍機が使う前に米軍に乗っ取られ、その奪還に向かう無念はいかばかりか。しかも、補給の船が次々沈没させられ、食い物もなく武器も持たない設営隊員は飢餓と逃走にあけくれるという、なんともむなしい状況に置かれていた。物量戦といってもいいのでは。同じ戦場での米軍側の記録があれば読んでみたいな。給与は兵隊より設営隊のほうが高かったらしいが、裏を返すと、軍人は死んだら恩給もでるが設営隊員は死んだらそれまで。海軍も陸軍も一日ひとり当たりの基本食というのが決められていたようだが、内容を見ると結構立派。しかし、彼ら何日くらい、こんな食事できたのだろうか。生きて帰還できたのは、奇跡とか運としか言いようがない。