「消えた宿泊名簿」 山口由美
消えた宿泊名簿天気予報は雨だったけど、半分当たり半分ハズレの一日だった。先日書いたように、この時期、戦争関連の出版物がいろいろ出る。この本もそのひとつと言っていいのかな。「富士屋ホテル」という名前は過去のいろんな本で知っていたが、戦争とのからみで考えたことはなかった。ホテルというと、休息場とか宿泊場というような点としての意味しか見ていなかった。ところが、戦中、戦後を通じて、外交の重要な役割を果たしていたんだな、と、本書を読み初めて分かった。この著者はじつはこの「富士屋ホテル」の創業者の末裔。そう思ってメガネをかけると、この人、文章は結構上手い。笑ジャンル分けすれば、ノンフィクションということになるが序章とか終わりの章を読むと面白い。中身は、戦争に翻弄された日本のホテルの話になるのだが、むしろ彼女の心情が出てくる、前や後半のほうが、いいな。