「疑史世界伝」 清水義範
正直なところ歴史というのは苦手。おじさん達の好きな、司馬遼太郎の本も一冊も読んでいない。笑「鳴くよ鶯平安京」なんて受験勉強をしたがどうも受験の為のような授業に影響があるようだ。ある時、女子高生が電車の中で歴史の教科書を開いていた。試験でもあるのだろう、あっちこっちいっぱい線が引いてある。チラリと見ていたのだが、ポイントがズレていてせっかくの勉強も、点数は取れないだろうなと思った。笑歴史は人が作るものだが、何年に誰が何をしただけでなくどういう考えで行為し、回りにどういう影響を及ぼしたということのほうが大事なんではなかろうか。極端なことを言えば、細かい年数よりも、何世紀の中頃という表現のほうが、同時代の出来事と関連付けしやすい。今のはどうか知らないが、教科書の無味乾燥の文章では人の営みというものが全く見えてこない。小説を読んだり、映画を見るにつけ、もっと歴史を知っていたら一層面白いのになあと、この年になって思うことしきりである。清水義範の著書でタイトルがこれだから例によってオフザケかなと思ったらとんでもない。まあ語り口はくだけてはいるものの、内容は歴史が凝縮されていて、しかも肩が凝らない。巻末の参考文献を見ると100冊近くあって頭がクラクラした。そのかいあってか、要点が押さえられていて「なるほど、そういうことだったのか」と思わせる部分も多い。1冊の本だから、歴史を全て網羅するというのはもちろん不可能だが、教科書もこういう体裁にしたらもっと歴史に興味を持つ人も増えるんではないだろうか。