初作品です。未熟ですが。
第一章「限りなく暇に近い生活」昔から、髪を切られるのはイヤだった。人にどうこう言われたくなかったのである。後頭部に、真一文字の傷があった。父は大学の先生。母は一流弁護士。暮らしは裕福で、困ることは何一つなかった。いや、なかったはずだった。金銭的には、私立の中学校に行けたのであるが、なんせ人口15万の地方都市。名門なんてない。親も、「公立で十分」と言い、中学校は公立だった。今、2年生になる。勉強は得意だった。得意にならざるを得なかった。幼い頃から俗に言う、「スパルタ教育」で育ったため、周りの子が一日に2,3時間しか勉強しないことに驚いていた。もっとも、2,3時間勉強しない子も多いのだが。勉強は退屈である。何が面白くて、父は大学で教えているのだろう。とは言え、テレビは1日30分、ゲームなんてもっての外。何もすることが無ければ、勉強をしていた。1日10時間は少ないほうである。とにかく、限りなく暇に近い生活であることには間違いない。することがないから、こうして今日も机に向かうのだった。普通の男の子が、暇な時に、マンガを見るような感覚で。