>>>西郷と海舟認め合う姿 鹿児島で特別展 手紙や漢詩など30点 無血開城ちなんだ史料も
維新の三傑と敬われる西郷隆盛と、幕臣・勝海舟をテーマにした特別展が、鹿児島市上竜尾町の西郷南洲顕彰館で開かれている。江戸城無血開城にちなんだものや、西南戦争後に西郷の人柄をしのぶ勝の様子がわかる史料など約30点を展示している。
「両雄の出会いへの布石」「江戸城無血開城」「海舟の西郷への 想おも い」と題した三つのコーナーに分けて、2人のほか、同時代に活躍した人物ゆかりの史料を展示している。
2人が初めて顔を合わせたのは、第1次長州征伐直前の1864年(元治元年)9月の大阪だった。勝の印象について、西郷が大久保利通に送った手紙の一節が紹介されており、「実に驚き入る人物でどれだけ知略があるかわからない。英雄の風格を持つ人」と称して、「ひどくほれ申し候」と伝えている。
77年(明治10年)の西南戦争後、勝は朝敵とされた西郷の名誉回復に奔走した。79年(同12年)には、その死を悼み、西郷が沖永良部島へ流された際に詠んだ七言律詩「獄中有感」を彫った石碑を私費で東京に建てた。会場には、石碑の拓本が展示されているほか、在りし日の西郷をしのんで勝が書いた漢詩なども並ぶ。
また、戊辰戦争時の江戸城無血開城における西郷と勝の協議の前に幕臣・山岡鉄舟が奔走したエピソード、勝から見た島津斉彬や思想家・佐久間象山らの人物評を、彼らが手がけた書や絵画と共に紹介している。
8月31日までの午前9時~午後5時。入館料は一般200円、小中学生100円で休館日は月曜。問い合わせは西郷南洲顕彰館( 099・247・1100 )へ。
【Phote 南洲公園からの眺望】
「西郷南洲顕彰館」は,鹿児島駅から徒歩で10分程の山の手,南洲公園の一角にあります。 展示内容は,西郷さんの功績そして西郷さんが活躍された時代背景が,要領よくかつ明解に説明されていて大変興味深いものです。
なお, 南洲公園の園内には,「南洲墓地」「南洲神社」が建ちます。墓地には、中央の西郷隆盛の墓を守るかのように、西南の役で犠牲となった桐野利明、篠原国幹、村田新八、辺見十郎太、別府晋介、桂久武などの墓が749基並んでいます。墓地の入口には,西南の役の戦死者の遺体を丁寧に埋葬した岩村縣令の記念碑が立ちます。
▼西郷年譜
1827年: 鹿児島城下で、父九郎隆盛・母マサの長男として生まれる。幼名小吉(こきち)。
1854年:(27歳) 藩主斉彬に従って江戸に上る。4月 庭方役に任命される。
1858年:(31歳) 大坂で斉彬の訃報に接し、殉死を考えるが僧月照にいさめられる。
1866年:(39歳) 薩長同盟成立。藩政改革と陸海軍拡張を進言。大目付・陸軍掛を拝命。
1868年:(41歳) 勝海舟との会談で徳川方の対案を受入れ,総攻撃を中止する。
1873年:(46歳) 徴兵令による陸軍大将兼参議に任ぜられる。
1877年:(50歳) 田原坂の戦い。別府晋介の介錯により自決する。