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テーマ:優しい時間(44)
カテゴリ:喫茶「話倶話倶」
勇吉(寺尾聡)は愛妻めぐみ(大竹しのぶ)を亡くした後、会社を退社し彼女の故郷富良野で「森の時計」という喫茶店を営む。一人息子の拓郎(二宮和也)が運転する車の事故で、妻を失った勇吉は、その後、拓郎とは会っていない。拓郎は、めぐみの親友朋子(余貴美子)の紹介で、美瑛にある「皆空窯」で陶芸の修行をしているが、勇吉は知らない。父と息子の間にできた溝は、あまりに大きかった。
富良野の森の中に静かに佇む「森の時計」...自然の中に溶け込み、木々の間をぬける朝日や、斜めに射しこむ午後の陽射し、夕闇に浮かぶ柔かな杏色の灯りなど、どこを切り取っても絵になる風景がある。そんな「森の時計」のマスター勇吉を真ん中に、静かな時間が流れていく。 お客さんがカウンターに坐ると、手挽きのコーヒーミルとコーヒー豆が置かれ、お客さんがカリカリとコーヒー豆を挽く。カウンターの中、マスターの後ろは大きなガラス窓で、一枚の絵のような景色が広がる。木のぬくもり、ストーブの薪がはぜる音、コーヒーの香り...なんともいえぬ、大人の豊かな時が流れる。 ドラマの最初から最後まで、北海道の豊かな自然が溢れていて、ストーリーを追わずとも、見惚れてしまう。舞台の富良野は、ドラマの中では秋の終わり。もうすぐ、冬がやってくるという季節。紅葉に輝く木々の葉が、少しずつ散りはじめ、雪虫の姿も見える。 勇吉と拓郎、勇吉の店で働く梓(長澤まさみ)と拓郎、それぞれの今後もどうなっていくのだろうかと、気にはなるが、まぁゆっくり見守っていこうという気持になる。 「森の時計」の灯りが消え、勇吉が一人コーヒーを淹れる時、カウンターにはめぐみが坐り、二人きりの会話が交わされる。ポツポツと話す勇吉に、穏やかに優しい笑みで答えるめぐみ。時が止まったようなひとときに、今は亡きめぐみがやってくるのだ。 素晴らしい役者さんが出演し、個性を発揮している。「森の時計」に集う常連客や、従業員、窯の主、勇吉の友人などなど、個性派揃いで、顔ぶれを見ているだけでも楽しめる。それに加えて、毎回、ゲストで様々な俳優さんが登場するのも嬉しい。第一回では時任三郎と手塚理美、今日の第二回では田畑智子と中村俊太。来月には、北島三郎も出演ありとのこと。どんな役で出るのかなぁ... 音楽を担当しているのは渡辺俊幸氏。フォークグループ「赤い鳥」のドラマーとして音楽活動を開始した人だが、その後、作曲やアレンジに才能を発揮し、様々な映画やドラマの音楽を手がけている。主題歌は平山綾香の「明日」。優しい時間に流れている音楽もまた、優しい時を紡いでいる。 タイトルのとおり、ドラマ全編に優しい時間がただよっている。心に刺さった刺を抜くには、充分に役に立ちそうだ。ただただ、この画面に見とれているうちに、気づくと穏やかな気持になっている。大人のドラマが、ゆっくりとすべりだした。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【賢人訓より】 《上善は水のごとし》...じょうぜんはみずのごとし 上善は理想の生き方のこと。 水はどんなものにも逆らうことなく、柔軟に形を変えて、高いところから低いところへ、そしてすみずみにまで流れていく。さらに、ものすごいエネルギーも秘めている。 理想の生き方をしたいなら水に学ぼうということ。 自己主張をしすぎるとカドがたち、だれも耳をかしてはくれない。謙虚な気持をいつも忘れずに。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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