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テーマ:今日の言の葉(492)
カテゴリ:喫茶「話倶話倶」
俳句を勉強するようになってから、いかに知らない日本語がたくさんあるかということに気づいた。
日本の言葉は、実に美しく心地よい響きをもっている。日本人だからこそ、感じたり気づいたりする微妙な変化を、言葉という透明な材料をつかって表現する。こんな美しい言葉を持つ国に生まれたことを、心から嬉しく思ってしまうような言葉たちを、少しずつ紹介したい。 【しのゝめのほがらほがらと明けゆけば己が衣々なるぞかなしき】 詠み人知らず 「衣々」「後朝」両方とも「きぬぎぬ」と読む。かつて、男性が女性のもとに通う「妻問婚(つまといこん)」だった時代、女性と夜を過ごした男性は、黎明とともに別れた。「暁の別れ」という。それぞれの衣をまとって別れるので「衣々」「後朝」の別れ。 ちなみに「暁(あかつき)」は、夜を三つに分け、宵、夜中につづく三番目の夜で、夜明けのまだ暗い時間のこと。つづいて「東雲」「篠目」(しののめ)、「曙」(あけぼの)を経て「朝ぼらけ」になる。 「朝ぼらけ」につづくころとして、「彼は誰時」(かわたれどき)。まだ暗くて彼は誰かわからないころという意味。「誰そ彼時」(たそがれどき)も、同じ意味だが、こちらは「黄昏時」とも書いて夕方の表現。「かわたれ時」は明け方の表現。 夜が明けてゆくほんの短い時間だけでも、微妙な変化でこんなにたくさんの言葉がある。 【温みなき彼は誰時や山眠る】 まるまる茸 昼の輝きを少しずつ押し隠し、闇が支配する夜へと向かって行く密やかな時が流れる夕の刻。 【夕されば人なき床をうちはらひ嘆かむためとなれるわが身か】 詠み人知らず 「夕さり」は夕方になること。「仄暮」(ほのぐれ)はわずかに暮れかかり、「薄暮」(はくぼ)は薄明かりの残る夕暮れ。「夕間暮れ」(ゆうまぐれ)は薄暗い夕方。 日が暮れそうでなかなか暮れないことは「暮れ泥む」(くれなずむ)といい、暮れ始めると「暮れ初む」(くれそむ)、暮れてから明るさが残っていることを「暮れ残る」。 こんな言葉もある。「うそうそ時」は明るくも暗くもない時間。不安で落ち着かない様子も現わしているようだ。「逢魔が時」(おうまがどき)は黄昏時のこと。災いに逢う時という意味。魔に逢う時なんて、何となく不気味。 日暮れとともに、一つ、また一つと家々に灯が点る。「火点し頃」(ひともしころ)だ。 【したひ来る恋のやつこの旅にても身のくせなれや夕とゞろきは】 源俊頼 恋しさは黄昏時につのるもの。恋する気持が、夕暮れ時に心を騒がせることを「夕轟き」(ゆうとどろき)という。 【君の声風花となり夕間暮れ】 まるまる茸 百人一首にも、夜明けを詠んだ歌は多い。妻問婚、通い婚という習慣があったこの時代、夜明けは、愛しい人との別れと同義語だったのだろう。後朝の別れの辛さや恋しい気持を詠み、愛する女性と過ごした甘く激しいひと夜の思いをこめ、男性の側からの恋のせつなさが伝わってくる。 【明けぬれば暮るるものとは知りながらなほうらめしき朝ぼらけかな】 藤原道信朝臣 夜になればまた逢えるのに、夜明けが来てひととき別れなければならないせつなさを詠ったものだけれど、それだけ相手の女性を愛しているのだろうね。別れてすぐに女性に送る文の使いを「後朝の使い」というそうだ。こんなにあからさまに、うらやましいこと...(^^;) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【賢人訓より】 《木に縁りて魚を求む》...きによりてうおをもとむ 武力で天下統一をしようとしていた斉(せい)の宣王(せんおう)に対して、孟子が言ったことば。武力で統一しようとすることは、木によじ登って魚を探すようなことだ、と。 手段や方法を間違えるといくら努力しても目的は達せられない。うまくいかなかった時には、もう一度やり方を考え直してみよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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