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テーマ:食べ物あれこれ(50369)
カテゴリ:喫茶「話倶話倶」
私の住む茨城県西部では、節分のあとの初午の日に、特別に作る料理がある。「すみつかれ」と呼ばれる郷土料理。栃木県や群馬県の一部でも昔から馴染みの料理だ。見た目は、「何これ!」っていうほど驚きの風貌。初めての人はちょっと手が出ない代物だ。
初午の日に、七軒のすみつかれを食べ歩くと病気にならないという言い伝えがある。作られ始めたのは、鎌倉時代とも江戸時代とも伝えられる。冬の厳しい時期、鮭の頭や節分の大豆、酒かす、大根を主流とした残り物の野菜などを使って、保存食として作られたのが始まりとも言われている。 初午は、稲荷信仰の行事の一つで、伏見の稲荷神社に神様が降臨した日と伝えられている。また、春の耕作の初めの日に、田の神様を山からお迎えするという意味もあり、お稲荷様は食物の神、農耕の神として、五穀豊饒を願う祭りもあちこちで行われている。 この日は、お赤飯を炊いたり、だんごを作ったりとその土地土地で、色々な風習があるようだ。こちら茨城では、すみつかれを作り、油揚げをお稲荷さんにお供えして、健康と無事を祈る。 さて、このすみつかれだが、呼び方も色々。「すみつかれ」「しもつかれ」「しみつかれ」「しみつかり」などなど微妙に違う。味も、各家庭、それぞれの味が伝承されている。鬼おろしと呼ばれる、おろし金のお化けみたいなもので、大根や人参をすりおろす。すりおろすというより、削るという表現のほうが当たっているかもしれない。めちゃくちゃ粗い大根おろしという様相だ。節分の残りの大豆を升ですり皮を取って炒る。鮭の頭を小さく切り、酒かすを入れて、クツクツと煮込んで作る。しょうゆ、砂糖、塩などで味をつけるが、家庭によって配合も使う調味料もそれぞれだ。酢を入れるところもあるらしい。 鬼おろし 食べ物が乏しい時期に、残り物を上手に利用して、栄養価の高い保存食として作られていたようだ。まさに、知恵の結晶のような料理だ。ちなみに出来たてよりも、次の日あたりに、冷えたものを食べるほうがおいしいらしい。 賢明なみなさまは、「らしい」の連発に気づいていらっしゃるだろうか? ......そうなんです! 私はこれが大の苦手(><) 食べられないの... とてもおいしい食べ物に見えないということもあるけれど、見た目に左右されずにとりあえず食べてみる主義の私。祖母、母と受け継がれてきたこのすみつかれだが、子供の頃から、この時期になると必ず食卓に登場するにもかかわらず、どうしてもダメなんだ。 酒かすが苦手なの。すみつかれを食すには致命的だぁ! という訳で、伝統のすみつかれは、私の代で廃れてしまうかもしれない。しかし! 学校給食に従事している者としては、地域の郷土料理を自分の代で消してしまうことに、とてもとても罪悪感を感じている。節分が終ると、何とかすみつかれを受け継がなければ、と悲壮な気分になるのだ。栄養価が高く、美容にもよく、保存がきき、日がたつごとにおいしくなる。初午の行事や、食べ物を大切にする知恵も伝えていける。そういう素晴らしい料理なのだ。 せめて、作り方だけでも、しっかり母から学んでいこう♪ と、毎年毎年心に誓いながら、45年も生きてきてしまったまるまる茸なのでした(笑) みなさんの故郷にも、様々な郷土料理があるのでしょうね。よかったら紹介してくださいね♪ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【賢人訓より】 《三宝》...さんぽう 人生において必要な三つの宝。 人をいつくしむこと。 物事を控え目にすること。 人の先に立たないこと。 人をいつくしむからこそ誰からもばかにされないし、控え目だからこそ行きづまらない。人の先に立たないからこそ、やがて指導者として尊敬される。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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