親離れする前に
亀田興毅の謝罪会見を見た。あらかじめ用意された文章ではなく、自らの言葉で語られた言葉には情が入っていたように思う。今後は父親から離れ、亀田家長男ではなく1人の亀田興毅として1本立ちしなければならない。だが個人的には3兄弟の中でも実力は1番だと思うし、裏工作などなくても世界を狙えるだけのモノは持っていると思う。これまではパフォーマンスばかりがクローズアップされ嫌悪感さえ抱いていたが、今後に期待を抱かせるような会見だった。前置きは長くなったが、このような親子のことを心理学では「父子密着」というらしい。そしてサッカー界にも「父子密着」の終わりを告げている選手がいる。少し前、ドログバがフランスの新聞のインタビューに答え、チェルシーを退団したいと語った。その後すぐにクラブの公式HPで謝罪ならびに否定のコメントを出していたが、これは騒動を静めるための措置であり、ドログバの本心は退団に傾いていることだろう。ドログバが前監督モウリーニョを慕っていたのは事実であり、ドログバをチェルシーに誘ったのもモウリーニョである。モウリーニョが周囲の批判に晒されていたとき、真っ先に擁護したのがドログバであり、周囲を見返す結果を残したのもドログバだった。だがインタビューにも答えていたように、「何が起こり、誰がモウリーニョを辞めさせたのか誰もが知った今、大きな打撃を受けた」と父のように慕っていたモウリーニョがクラブから去った原因がクラブ内にあると分かったことで、モウリーニョだけでなく自分さえも裏切られたという思いが芽生えたのだろう。決してチェルシーというクラブを愛していたのではなく、モウリーニョを、そしてモウリーニョが率いるチェルシーというクラブとそのファンを、ドログバは愛していたのである。最近、ドログバはバラックに対してもコメントを出しており、「バラックはチェルシーに向いていない。 ユナイテッドやアーセナルに行っていたら、もっと楽な時間を過ごせただろう。 バランスではなく個の能力に頼ったチェルシーには適していない」とあまりにも単刀直入にバラックを、そしてチーム戦術さえも批判している。確かに昨シーズンあたりからドログバの個人技に頼るところの大きかったチェルシーではあるが、モウリーニョのいた昨シーズンなら絶対口を突かない言葉だったであろう。モウリーニョが去ったことで、ドログバにも親離れの時間がやってきた。それが来年の1月なのか6月なのかは分からないが、いずれにしろチェルシーを離れる日は2,3年後ではないだろう。だが現在もチェルシーに所属している以上、チームの和を乱すような発言や行動は慎まなければならない。たとえ移籍を果たしたとしても、移籍先にモウリーニョがいるとも限らず、同じ問題を起こす可能性もある。ドログバももう少し“大人”になる必要がある。ほな、また。