新シーズンへの期待
早いもので07-08シーズンが開幕するまで約1ヶ月ほどになった。もちろん国によって多少のばらつきはあり、宮本や三都主が所属するザルツブルグのオーストリアでは、すでに先週末に開幕しているが、主要リーグは大体8月中旬から下旬にかけての開幕ということなので実質1ヶ月である。8月25,26日に開幕するリーガでは先日、新シーズンの日程が発表された。スポーツにおける日程は一体どのように決められているのか、常日頃から不思議に思っていたのだが、リーガでは組み合わせの抽選によって決められているそうだ。一概には言えないが、密室で決められるよりは“抽選”という不確定要素が入った決め方のほうが、意外な時期に意外なカードが実現したりして、ファンとしては嬉しい驚きを味わうことができる(実態はどうか定かではないが)。リーガの一番の注目といえば、もちろんクラシコである。昨シーズンは最後まで優勝争いを展開し、地理的・政治的にも永遠のライバルであり続ける両者であるが、今シーズンのクラシコ初戦はなんと12月23日、クリスマス前にバルセロナのホームで行われることになった。また折り返しのレアルホームの試合は来年の5月7日に決定した。12月23日に勝利し、ファンに一足早いクリスマスプレゼントを贈ることができるのはどちらなのか。また5月7日はおそらく優勝争いを左右する大事な1戦になるであろう。シーズン終了後にはEUROが行われることからも、最後から3,4試合目あたりのラインアップであり、チャンピオンズリーグとの兼ね合いもあることから、コンディションとモチベーションが大きく左右しそうな一戦になるであろう。さて注目の開幕カードとしては3試合を取り上げたい。昨シーズン優勝のレアルはアトレティコとのダービーマッチでシーズンをスタートさせる。レアルはホームで開幕を迎えることが出来るとはいえ、独特の雰囲気を持つ開幕戦に、これまた独特の雰囲気をかもし出すダービーは避けたかったのが本音だろう。新監督シュスターの招聘や新戦術・新規入団選手との兼ね合いもある。いくら開幕戦とはいえ凡庸な結果しか残せなければ批判が続出するのは間違いない。一方のアトレティコはFトーレスの穴を埋めるフォルランの出来が鍵を握っている。ビジャレアルからやってきたウルグアイ人ストライカーは2シーズン連続でクラブ得点王になるなど、ユナイテッド時代とは別人の、本来の能力を発揮している。個人的にはリバプールから戻ってきたルイス・ガルシアにも期待しているが、やはりフォルランとアグエロの南米2トップに両翼を絡めた攻撃が、どこまでクラブとして機能するか中億である。フォルランを放出したビジャレアルはアウェイでバレンシアと開幕を戦う。これもまたダービーであり、会場の熱気はマドリー・ダービー同様に盛り上がるのは必至だ。さらに昨シーズン限りでバレンシアを離れビジャレアルに移籍したDFアジャラが、開幕戦から古巣のホーム、メスタージャに戻ってくる。間違いなくブーイングで迎えられるであろうアジャラだが、今のところ攻撃陣に放出の傾向が見られないバレンシアの攻撃を食い止められなければビジャレアルに勝機はない。バレンシア唯一の不安要素はそのアジャラの抜けた穴であり、数では揃っているCBも質となるとやはり見劣りする。一部にはレアルのエルゲラをターゲットにしているようだが、開幕までに動きがあるのかが見ものである。最後はバルセロナ、ではなくセビージャ対ヘタフェ戦を取り上げたい。ここ数シーズンで大躍進を見せているセビージャに対し、シュスター監督の下、昨シーズン急成長を見せたヘタフェ。だが立役者のシュスターはレアルの監督に就任し、代わりにやってきたのがレアルやバルセロナでも活躍し、デンマーク代表としても一時代を築いたMラウドルップである。母国でブロンビーの監督として2シーズン過ごした後の今回の就任であり、初戦がセビージャなのはラウドルップの監督としての実力を知るには格好の相手である。ケパやウチェを獲得し前線に強力なFWを揃えたヘタフェに対し、カヌーテやDアウベスの去就が注目されるセビージャ。昨シーズンのコパ・デル・レイ決勝で激突し0対1で敗れたヘタフェとしてはリベンジの舞台がいきなり訪れた格好になったわけだ。たかが開幕戦、されど開幕戦。勝って勢いに乗るか、負けてリズムを失うか。少なくともリーグは最初からエンジン全開を望んでいるようだ。ほな、また。