昭和のキモノ(小泉和子編)
たくさんのモノクロ写真と逸話。そのすべては、つい最近の過去の事実であるはずなのに、それらはまるで、遠い異国か、架空の種族の物語のように儚く、神秘に満ちてさえ見える。昭和のキモノことし2008年は、昭和で数えれば昭和84年。ほんの たった数十年前まで、ここ日本では、だれもがふつうにキモノを着用していた。糸を紡ぎ、織り、仕立て、直し、洗い、リサイクルしていた。江戸時代のことよりも昭和のことをこそ、昭和生まれのワタシは 知らないのだなあ。「レトロ」を はしゃぎ 楽しむことに 申し訳ないような気持ちを覚えるのと同時に、この小さな国の小さな民族の美意識や美的センスの高さに あらためて驚嘆した。心から誇らしく感じ入った。たくさんのものを灰にしてしまった憎むべき戦火を、心から呪う。そうして、 それでもなお、ワタシはこの平成の世に暮らしながら キモノが着たいのであった。昭和のくらし博物館博物館の昭和だより