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カテゴリ:仕事について
平坦な世界の景色に奥行きを与えるのは、それを見る者のイマジネーションであるだろう。
それぞれの世界を見つめるそれぞれの生き物。どんなストーリーをその景色に重ねているのか、すこし想像するだけでも非常に面白くなる。 「僕の世界を報告できる話者は僕しかいない」という自分だけの自負が中学生の頃強くあった。でも逆に、独我論者だった当事のそんな自分を作ったのは、絶対にそれを生きることができない他者の持つストーリーだったのかもしれない。 今日は仕事で長野県の佐久市に行った。 雨の降りしきる関越自動車道を下り、上信越自動車道に接続する。 月に1~2回は長野に営業車を飛ばして行くが、この山間を走り抜ける上信越自動車道が好きなんだ。 走る車も少なく、何より景色が良い。 関越自動車道の景色がつまらなすぎて、眠気をこらえて走るのだが、上信越道に入ると自然と目が覚める。 今日の雨は山の緑をより濃くし、はいいろの低い雲が景色を水墨画のように見せてくれていた。 佐久I.Cを下りる前に、八風山トンネルという長野と群馬をまたぐ全長4kmの長い長いトンネルがある。 一転、トンネルを抜けると白い雲の切れ目に鮮烈な青空が見えた。 その青はトンネルを抜けるまで灰色に見えていた水墨画の雲を、いっきに白く塗り上げてしまった。 コントラストの強い油絵のような色の鮮やかさがあった。 殺伐として、平坦で、モノトーンなビジネスというフィールドに、一瞬だけでもそんな奥行きのある色彩の風景を見つけるだけで、どこか救われている。 オートマチックに働く自分がいる一方で、そんな一瞬が自覚を取り戻し、 景色に、または人の心の中に、奥行きというものがあることを思い出させてくれる。 騒音けたたましいお祭り騒ぎの仕事の世界に、そんな一瞬の静けさを、深い海のそこのような気持ちを思い出させてくれる瞬間を、一日に一回だけでも必ず見つけたいと願っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.05.30 01:35:07
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