永遠の0
久しぶりの映画だった。「そして父になる」以来。あれも珠玉だったが、今回の「永遠の0」は・・・号泣してしまった。 太平洋戦争の零戦のパイロットがモチーフに なっているので、 当然戦闘場面もあるし、負けていく戦いだから死の場面も多くなる。 泣き虫な私はたぶん泣くよね・・・と思って最初から大きいタオルハンカチを 用意していたのだけど、周りのすすり泣く音を聞きつつも なかなか泣けなかった。 あの時代に戦闘機のパイロットをしていて乱戦になると逃げだして 生きて帰ることだけを願っている軍人がいたのだろうかという違和感があったからだと思う。 〈あらすじ〉 YAhoo!映画よりコピー祖母の葬儀の席で会ったことのない実の祖父・宮部久蔵(岡田准一)の存在を聞いた佐伯健太郎(三浦春馬)。進路に迷っていた健太郎は、太平洋戦争の終戦間際に特攻隊員として出撃した零戦パイロットだったという祖父のことが気に掛かり、かつての戦友たちを訪ねる。そして、天才的な技術を持ちながら“海軍一の臆病者”と呼ばれ、生還することにこだわった祖父の思いも寄らない真実を健太郎は知ることとなり……。ネタバレになるので詳しくは書けませんが・・・。誰よりも「生きる」ことに執着していた宮部は、やがて自分だけでなく自分の教え子たち(いわゆる赤紙で召集されてきた少年や、学徒出陣から志願してきた学生たち)への教育の中でも、生きろ、生き延びろ、戦争が終わったら何がしたい・・・と生きることを伝え始める。しかし、戦局はどんどん厳しくなり、教え子たちが特攻へ出て死んでいく様を目の当たりにするようになる。そして、生きて帰ることをあれだけ望んでいた彼が「特攻」に志願してしまうのだ。宮部の心中が詳しく描かれているわけではないが、その辺りから私の心にど~~~~っといろいろな人の思いのようなもんが入って来たような気がして、不意に涙が伝い始めて、あとはもうずっと声こそ出さないけれど号泣だった。違和感も吹き飛んだ。なぜ、彼が特攻に志願したのかおぼろげながらも理解できたような気がした。あの伏線、この伏線・・・すべてが心の中で繋がっていった。フィクションなので美しいといえばそこまでだろうが、彼自身は帰れないけれど、彼の思いは帰れれる。帰ることができることを実感できたので、思いを託して自分は特攻として散っていけたのだと。 岡田准一くんの美しいこと。あ~、いい男になったよなあ。彼の透明感と、あの目力は相当なもの。そうそう、夏八木勲さんの最後の映画になってしまったのも、覚えておかねば。素敵な役者さんだった。彼がこの映画の中で「私たち戦争を知る者は、あと10年もすればみんないなくなる。この話を、お前たちに伝えられてよかった」と、宮部の孫たちに語るシーンがあるのだけれど、夏八木さん自身が逝去されているので、これも深く心にしみた。映画を見て、人と語るのはあまり好きじゃないから、いつもおひとり様なんだけど、難しい映画だっただけに、今日は誰かと一緒に見て語りたかったな。