家庭裁判所物語
NHKの朝ドラ「虎に翼」も今週で終わりです。見ごたえのあるドラマでいつも見逃さないようにしています。このドラマは,清永聡さんの「家庭裁判所物語」が土台になっているように思うのです。この本を最初に読んだ時には本当に気持ちが揺さぶられました。読んだきかっけは,何年か前の「調停制度100周年」の記念イベントでパネリストとして清永さんとご一緒させてもらったことでした。家庭裁判所の歴史について書いた本があるなんて,と思いながら読み始めたのですがその黎明期の登場人物たちのキャラの濃いことといったらありませんでした。何回読んでも面白いと思っています。そして,とても納得したのです。私自身がなぜ家庭裁判所が大好きなのか。地裁でも簡裁でもなくどうして家庭裁判所なのか。裁判所の支部では同じ裁判官が地裁でも家裁でもお仕事をしていますが,どうして裁判所の雰囲気が地裁と家裁で違うのか。答えはルーツにあったのだと思い至ったのです。調停ばっかり扱っている私にとってこれは大きな発見でした。清永さんの緻密な取材力とたゆまぬ取材源へのリスペクトの姿勢は一流の証だと思いました。パネリストとしての話も面白かったし,尊敬できる方でした。この本も著者の清永さんにも,お会いできて本当に良かったです。三淵さんに関する本もできたようですし,これからも本を読むのが楽しみです。この本ではドラマの中で多喜川さんのモデルになっている男性を中心に書かれているのですが,重要な脇役の女性を主役に据えたことで沢山の社会的な問題点を組み込む工夫ができたのでしょう。この滅茶苦茶面白い本を読んで,敢えて女性を主役に据えようと考えた方のアイディアの勝利という感じもします。テーマソングの歌詞が最初から気になっていて,歌の中でやたら100年100年と言っているので,調停制度100年とか家裁100年とかそんなこととひっかけた話になっていくのかと思いましたが,今の所そんなムードでもないですね。このテーマソングの歌詞は竹中記者の目線で見た寅子を語って作られているのかなあ,とか自由にいろいろ想像しています。これから尊属殺人違憲判決が出るのは間違いないでしょうが,美佐江の娘の美雪にはどんな話をするのでしょうか。ガチの解釈論をするとはあんまり思えないけどそれなりの見せ場にはなるはず。ただ1つ心配なのは,最終回の日が茨城県弁護士会が総力をあげて開催するイベントの日で,集合時刻が朝早いんですよ。終わるのは夜だから何とかして朝の放送を見てスッキリした気持ちで案内係をやりたいと思います。がんばらないと。