|
カテゴリ:テレビ番組
夏ころ、友人から「とにかく面白いから見ろ!」と某ローダーにアップされていたお笑いの動画ファイルを見た。BGMからするとテレビではなくどこかのホールのライブのようだった。
客にセリフを言わせて突っ込ませて実は客にボケさせるという、なんだか手順のめんどうな客とのインタラクティブ漫才なのだが、結構笑った。 友人が「面白い!」と太鼓判を押したのは「スケバン恐子」こと桜塚やっくん、というピン芸人のネタで、一部の客にあらかじめ「猫だろ!」とか「赤いよ!」いろいろな突っ込みのセリフを覚えさせておき「おまえ、犬を被ってんじゃねーよ!」とボケてみせる。そしてその「猫だよ!」と突っ込むはずの客が突っ込みを忘れてると「突っ込めよ!」と怒鳴るのだ。 そしていろいろあって「そのダンディさは石原軍団の犬ひろしか・・・」とボケてみせるのだが、さっきの客はそれこそパブロフの犬のように「猫だろ!」と条件反射的に突っ込みをいれてしまい、突っ込むはずが逆に天然のボケになるという高度なお笑いを成立させてしまうのだ。 この「桜塚やっくん」、すこし前まで「あばれぬんちゃく」というかなりキケンなモチネタを売りにしていたふたり組のつっこみの方。女装がネタにならないくらい似合っていて、なんでも昔ジャニーズ事務所にいたという噂もあるくらいのイケメンである。あばれぬんちゃくは解散したようだ。 このバカバカしくて手順のこんだネタには最初は笑ってしまったが、よく考えれば昔ドリフの持ちネタにもあったし、実はアメリカのスタンダップコメディにはよくある手法なのだなこれ。 エンタの神様というネタ番組はあまり好きではない。ネタに被るように出るテロップや似顔絵が本来自然に浮かんでくるはずの「笑い」というものを奪っているからだ。「ほーら、ここが笑いどこですよー」みたいな押し付けがましさ、矢印を付けて教えたがるというか、本を読もうと思い、表紙を開いたら、すでに赤いアンダーラインがいっぱい引いてあったみたいなげんなり感がするので。 その桜塚やっくんがエンタの神様に登場しているのを見た。 エンタの神様の収録会場に集まるのは「オリエンタルラジオ」とか旬の芸人が出てくるだけでキャーキャーワーワー騒ぐだけの本質的に「笑い」には鈍感なファンの女性客が中心なので、桜塚やっくんがどうこいつらを転がせるか半ば冷ややかな目で見ていたのだが、桜塚やっくんは臆することなく堂々と、キョトンとした客を無理矢理にそのセリフを言わせて会場を沸かせて、ポーカーフェイスのまま舞台を去ってしまった。というよりネタにされた女性はあきらかに不服そうであった。もっというなれば、製作する側は明らかにこの桜塚やっくんの面白さを理解してないようで、そのウザいテロップのひとつも出せなかったのだ。いやそれだけでも自分には充分すぎるくらい爽快な笑いであった。<了> <初出『人生の一日(旧)』05.12.25> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年01月20日 19時21分07秒
コメント(0) | コメントを書く
[テレビ番組] カテゴリの最新記事
|