園子温の脚本演出によるシリーズ第四話。ゲストの犯人役が永作博美。
２時間サスペンスドラマそのものをパロディにしたようなストーリーで２サスによくあるラストの「崖」のシーンがネタに使われていた。いずれ誰かはやるとは思っていたが。

第１話から続いているのは霧山(オダギリ・ジョー)と三日月(麻生久美子)の関係のビミョーな変化である。それまで霧山の趣味に嫌々付き合ってきた三日月が今回からは逆にリード気味に趣味捜査に乗り出してきた。

永作博美の悪女ぶりが全開で個人的には何か得した感じはする。それだけ明らかにされた事件の真相は意外というか「えっ、こんなんでいいの？」という尻つぼみ感があったが。

テレビの司会やドラマでは良く見ている永作博美だが、意外にも映画出演は「ドッペルゲンガー」（２００２）が初めてだった。『ＲＥＸ　恐竜物語』に出ていたと記憶している人も多いだろうがそれはニセの記憶というやつです。今度「ＲＥＸ」を見直してください。笑えますから。

それだけにこのところの連続映画出演はファンとしてうれしいかぎりだ。やっとこの年になって生まれついての童顔が生きる場所を見つけたようで。

しかし見ていて疲れた。いままでと一番の違いはこのドラマの最大の良さであったユルさが影をひそめてしまい、最初から最後まで当場人物が喋りっぱなしだったことだろう。これは全九話という短さが産んだ弊害かと思う。何人かの脚本家と演出家がシリーズを分担するときには必ずラインプロデューサーがチェックして違和感が出ないように脚本をチェックするものだが、このドラマはそれを初めからしないと宣言しているので当然予想された展開ではある。

自分ならばもうひとひねりして、真相は広田レオナが仕組んだ罠が現場で逆転してしまい、その場で被害者と加害者が入れ替わってしまった、という形にするが。

しかしそれだともっとストーリーの詰め込みをしなければならなくなり、ゆるさのないただの推理ドラマになってしまう。難しいところだな。

園子温という人、映画では「自殺サークル」以降評価もされているが、テレビというワクの中ではやはり持て余し気味なのかラインの中の一本というのはハンディだったかもという気がする。「ノーパンツ・ガール」みたいなハチャメチャなオムニバスなら許されてもこのような連ドラではきついのかも。せめて脚本は岩松了のままでよかったのではないかな。

この金曜ミッドナイトというワクはそれまでのテレビドラマのワクに囚われないで楽しめるドラマ作りをという、いわば「実験場」であったわけでそういう意味では役割は果たしていると思うのだが。

次の回も期待してますよ。奥菜恵だし。