なっちゃん@うずらが素敵な季節
ペンギンの置物に一番合う場所を探して写真を撮っている外国の人がいる。世界とは行かないけれど、日本でなっちゃんに一番合うのはどんな季節か考えてみた。 夏生まれのなっちゃんに夏はいいだろう。夏の日差しが、木立下では切り絵のみたいに切り取られている。風に揺られて枝から木漏れ日が跳ね返る地面を、なっちゃんが駆け抜けたらいいだろうな。 なっちゃんがひょっとしたら生まれていたかもしれない、春もいいだろう。町は遠くから近くから背の高いモクレンが見えてまだちょっと寒い空を割るようだよ。梅桃桜でどこもかしこも良い香りだよ。そして君は桜色のあんよで、降りしきる花びらを踏みしめてぺたぺた歩くんだ。いいねえ。想像するだけでお酒が進むよ。 秋もいいね。太陽の欠片を抱えた赤や黄色の色々な葉っぱがただで地面に敷いてあるからね。道を歩くと靴底も柔らかくて気持ちがいい。好物のオンブバッタは少ないだろうけど良く肥えたコオロギは見つかるんじゃないかな。じゃあ私と家人は酒と肴で盛り上がるよ。そうすると、君はいつも巣箱でやるように、葉っぱに隠れてこっちを見上げるんだ。可愛いね。 冬はきっと寒すぎて丸まっているだけかな。俳句の季語のふくらすずめみたいに。太陽も遠くて遊んでいられる時間も短くなるものね。本人には可哀想だけど、益々まあるいなっちゃんを鑑賞できるなら冬もいいなあ。 あれ、それじゃ結局どの季節も似合うってことじゃないか。 これじゃ、家人にマーラーの交響曲はどれが好きなんだって問い詰めた時の答えと一緒だよ。「5番がいいね」といいながら、結局1番から10番まで挙げちゃうんだから。 なっちゃんはめんこいから仕方ないね。 うずらの平均寿命は7~8年という。これから君と家人と私の間で何回も季節を過ごすね。その間にお互いにお互いの為に思いやることで、皆それぞれの特別になっていくんだよ。考えてみればすごいね。あの夏、爬虫類ショップで沢山のうずらさんの中から君を連れて帰らなかったら、こんな風に君を特別に思うこともなかったかもしれないね。あれから徐々に君の存在は私にも家人にも積もってきている。君もそうかな、そうだといいな。 なっちゃん、らぶ!