カテゴリ:十二国記
教育実習のため母校に戻った広瀬は、教室で孤立している不思議な生徒・高里を知る。彼をいじめた者は“報復”ともいえる不慮の事故に遭うので、“高里は崇る”と恐れられているのだ。広瀬は彼をかばおうとするが、次々に凄惨な事件が起こり始めた。幼少の頃に高里が体験した“神隠し”が原因らしいのだが…。彼の周りに現れる白い手は?彼の本当の居場所は何拠なのだろうか?
十二国記シリーズの番外編ですが、実は十二国記より書かれたのが先です。なので、この時点で小野さんの頭の中で十二国の構想が練り上がっていたのかと思うと凄い、と思いますね。 さて、内容ですが。これはファンタジーなのか、サスペンスなのか、オカルトなのか、はたまたサイコなのか。なんです、これ!?って感じですね。しかし、実に考えさせられる所がたくさんある。 まず、主人公は自分を祖国喪失者だと言う。だからこそ高里の考えを理解出来た。そして仲間だと思った。その時点で、高里と自分は「同じ」であるという連帯意識を持っているわけだから、高里だけが本物の「祖国喪失者」であり、自分は真実仲間ではない、という境遇に置かれた時の彼の行動が「人間」であることだと思った。 人は誰もが祖国喪失者であることを望んでいるのかもしれません。 ここは、私の住むべき世界ではない。どこかに私を受け入れてくれる、本当の場所がある...。そう信じれることが出来たらどんなに楽でしょうね。もちろん、それはただの現実逃避なんですけど。 広瀬と高里の大きな違いは、祖国への意識だと思います。 広瀬はただただ、穏やかな、いわば常世を夢見た。 それに対し、高里はそんな甘い考えを持っていなかった。考える余地がなかったのかもしれませんが。 本当に、とても深い物語です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 16, 2006 02:42:36 PM
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