リンちゃん
うちには、私が生まれたときからずっと一緒のおばあちゃん犬がいる。柴犬 リンちゃん☆彡ちょっと前までは元気に走り回って、散歩に連れて行っても年を感じさせないくらい元気で、一生側にいてくれそうな気がしてた。でもやっぱり あんな小さな体にも老化は訪れる 皮肉な話。いつの日からか、小さな円を描くように、ふとした時にくるくる回るようになった。そうして、せっかくまるまるしていた小さいけどりっぱな体も、触るとちょっと痩せたのが感じられるようになった。それから、今年の夏 事故で片目を失った。私はその頃どうしても忙しくて、家族から事故のことを聞いたのは、事故から2日経ってからのことだった。ケガをしてすぐ病院に連れて行かなかったことを、ひどく責めてしまった。リンはケガの痛みよりも何よりびっくりして、気が動転してしまって、家族さえ寄せ付けなかったそうだ。それからすぐに病院に行った。面会をさせてくれるよう頼んで、ガラス越しにリンを見た。涙が止まることなく流れて…それまで側にいてやれなかったことを、ひどく後悔した。何気なくいつも家にいたリンがすごくすごく絶対な存在であることを痛感した。それからガラス越しじゃなくて、部屋の中に入れてもらって、すぐ側で見た。上手く動けないリン。すでに手術はすんでた。顔の上半分のケガ。かなり衰弱してた。誰が来たとはわからないけど、誰かの気配を感じ取って、よろよろ立ち上がって、片目で一生懸命こっちを見てくれた。医者からは、無事に助かるかどうかはまだわからない。手術が遅れたこともあって、傷がうまくつながるかどうかで命がつながるかどうか と言われた。祖父は、リンが一通り落ち着いたころを見計らって、病院から半ば無理矢理退院させた。無菌状態に近い病院から、四六時中様子をみてくれる人もいない、何が起こるかわからない家に戻された。祖父は、病院に連れて行くことすら反対したそうだ。自然に死なせてやりたいと考えたらしい。悔しかった。それから祖父を除く家族皆での看病が始まった。無事助かったリンは、今ではだいぶ痴呆も進んで、相変わらず小さな円を描いてる。でも前のようにとは言わないけど、散歩の時は少し走る。寝るときやふとした瞬間にくるくる回って落ち着きをなくすリンだったけど、最近では昔嫌がっていた『抱っこ』をしてやると、静かに眠るようになった。ずいぶん軽くなってしまったけど、充分温かい。確実にいつかは別れが来る。そんなの嫌だけど、どうしようもないくらい悲しいけど、だからって現実から目はそらさない。そらしちゃいけない。もう一人にしないから…最期の最期まで、リンを最高に可愛がりたい。その時がまだまだ先でありますように☆彡一緒にいられますように。