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カテゴリ:大正期・私小説
『子を貸し屋』宇野浩二(新潮文庫) そもそも僕は、文学史の本を読むのが結構好きで、日本文学史以外にも、アメリカ文学史の本、イギリス文学史の本、フランス文学史の本などを、かつて楽しみつつ読んだ事があります。 えー、宇野浩二です。 もちろん私は初めて読む作家なんですが、以前から文学史の本を読んでいたせいで、なんとなく「美味しい匂いがする作家」という「アタリ」を付けておりました。 そしてその「アタリ」は、きっちり当たりましたねー。 とっても面白かったです。ただそれだけではなしに、幾つか考えてしまう事もありました。 この本には、やや長さのまちまちな4つの短編小説が入っています。 文学史的に言って、相対的に有名な小説は総題にもなっている『子を貸し屋』でありましょう。作品のバランス・まとまりも、とてもいいと思いました。 ただ、「特徴的」という事で言うと、『あの頃の事』という短編が、とっーーーーってもとっても、「特徴的」であります。 そのあたりのことをちょっと、考えてみたいと思います。 この短編集のポイントは、以下の2点だと思います。 (1)強烈な貧乏話 (2)極めて特徴的な文体 この順番に考えていこうとは思いますが、ただ、(2)の「特徴的な文体」について、この作品ではその程度が、少し異常なほどであります。詳しくは後述しますが、とっても気になりますので最初にちょっとだけ触れておきます。 しかし、これだけ異常な文体を「発見」した時、小説家とは一体どんな事を考えるものなんでしょうねー。 「やったー。おれのオリジナルだーっ。」 って、思うんでしょうか。うーん。 クラシック音楽の指揮者に、もう亡くなられた方ですが、セルジュ・チェリビダッケという方がいました。 フルトヴェングラー亡き後のベルリンフィルの主席指揮者の席を、カラヤンにかっさらわれた事で有名な人です。 ちょっとだけ、ちょっとだけ、寄り道。 この辺のいきさつは、以下の本に詳しく書いてあります。少し推理小説仕立てで、どこまで真実なのか分かりませんが、とても面白い本です。 『カラヤンとフルトヴェングラー』中川右介(幻冬社新書) さてそのチェリビダッケという指揮者が、晩年、まー、何というかー、今までの人生の「怨念」を込めたように、異常に遅いテンポで幾つかの交響曲を振っています。 ブルックナーとベートーヴェンが有名ですが、時にベートーヴェンは、この異様なまでの遅さに、聴いていてなんだか鳥肌が立つようです。 僕は宇野浩二のこの小説を読んで、思わずチェリビダッケのベートーヴェンの7番を思い出してしまいました。 (ベートーヴェンの交響曲7番といえば、少し前にテレビドラマに用いられた事で流行った、カルロス・クライバーの7番が有名ですが、あれと比べると、全く別の曲かと思ってしまうほど、チェリビダッケのテンポはまるで違います。) しかし、落ち着いて考えれば、当然ながら、両者にはいくつもの違いがあります。 その最大のものは、チェリビダッケの場合は、或る意味すでに名を成し功を遂げた後の「新展開」ですが、宇野浩二は、まだ小説家デビューしたての頃の「発見」です。 そんなデビューしたての段階で、これだけ強烈な個性の文体を書くと言う事のうちには、きっといろんな考えが、筆者の中にあったろうにと思うのですが、その辺をちょっと順を追って考えていきたいと思います。 以下、次回に。 よろしければ、こちら別館でお休み下さい。↓ 俳句徒然自句自解+目指せ文化的週末 /font> にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.08.22 07:46:36
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