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カテゴリ:大正期・新現実主義
『奉教人の死』芥川龍之介(新潮文庫) オカルト、好きですか? のっけから変な質問をしましたが、オカルティックなお話には古今東西、根強い人気がありますよね。 映画、小説、漫画などなど、「お客」を入れる最後の切り札はこれ、という感じですが、そんなことないですか。 (観客動員の最後の切り札という出し物は、昔からあったようですね。歌舞伎で言えば、何といっても『忠臣蔵』ですね。西洋のオペラでもそんなのがあると聞きましたよ。「ABC」というそうですが、「ABC」ってわかりますか。「アイーダ・ボエーム・カルメン」だそうです。ほんとかな。) 閑話休題。オカルトの話です。 さていったい、オカルトの魅力とは何なのでしょうね。 わたくし、思うんですが、これはきっと本能レベルにまで遡って、生物の存在そのものにインプットされている一種のシステムではなかろうか、と。 なんだか大層な話になってきそうなんですが、なーに、所詮私の考えることですから、いろんなところに穴があいている上に浅はかそのものであるんですが、一言で述べますと、「好奇心」ですね。 なーんだ、とがっかりなされた貴兄、どうもごめんなさい。 私の考えた浅薄な連想は、「オカルト→謎→好奇心」という、そういう単純な連想ゲームでありました。 (好奇心がなぜ生物の存在そのものにインプットされているシステムなのかというと、なんか、そんな動物行動学っぽい話を、どこかで読んだ気が、なんとなく、するわけですけどー。) 再度閑話休題。 そもそもいったい何の話かと申しますと、芥川のオカルト好きという話題であります。 しかし、もしも「オカルト→謎→好奇心」という図式が正しいとすれば、それは単に芥川だけ、オカルトだけ、という話ではないですよね。 「謎」は、小説の根幹であります。 あらゆる小説のプロットには「謎」の設定があります。 これを極めて効果的に用いた作家は、近代日本文学で言えば、何といっても夏目漱石であります。 『こころ』を筆頭に、ほぼ総ての漱石作品には「謎」の設定がなされていますが、今特に私が思いだしたのは、『行人』の第1部「友達」に出てくる、「娘さん」としか書かれていない、精神に異常をきたした女性のことであります。 この不思議な「娘さん」の存在そのものが、作品全体を覆う「謎」になっているんですが、この女性の扱いは、漱石、実に見事なものであります。 えーっと、なかなか話が、芥川の小説にまでいきませんね。困ったことです。 って、人ごとのように書いていますが、さて今回取り上げたのは、冒頭の短編集であります。 ここには11編の短編小説が収録されています。いわゆる芥川の「南蛮物=切支丹物」であります。 しかし、作家という商売も大変ですよねー。 芥川は、実際の作家生活は十年少々しかないのですが(『羅生門』発表→1915年、睡眠薬自殺→1927年)、その間いかに沢山の小説のジャンルとスタイルを開拓したか。芥川が手を付けていない短編小説のジャンルやスタイルはもはや存在しない、とまで言われるほどであります。 しかし逆の言い方をすれば、そこまでせねばわずか実動十年が持たなかった(「持たなかった」ってことは、まさかないでしょうが)、ということですね。 全く作家として生きるということは、なかなか大変そうですね。 さてまた糸切れし凧のように飛んでいった話を、頑張って元に戻そうとしているんですが、この本の中には11編の切支丹物小説が収録されています。 あのー、ここだけの話ですが(って、意味なし)、はっきり言って、これらの作品にはかなり出来不出来があります。 芥川の他のジャンルの作品にも、これほど出来不出来はあったのでしょうか。 ふーむ。ちょっと考えてしまいますが、……。 いえ、どんな出来不出来かというと、……あ、次回に続きます。 よろしければ、こちら別館でお休み下さい。↓ 俳句徒然自句自解+目指せ文化的週末 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.03.26 08:32:38
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