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カテゴリ:大正期・新現実主義
『奉教人の死』芥川龍之介(新潮文庫) 前回の続き、冒頭の短編集の読書報告後編であります。 近年、今更ながら、わたくしのなかなかフェイヴァレットな芥川の小説であります。 そもそもフツーの人の、芥川龍之介の小説との出会いというのは、どういうパターンがあるんでしょうね。 私思うに、ツー・パターンですかね。 (1)『トロッコ』『蜘蛛の糸』『杜子春』などの児童文学からの出会い。 (2)高校一年生の授業で習う(今でもそうですかね)『羅生門』との出会い。 まー、もちろん、芥川と出会わないというパターンもありましょうが、私の場合はたぶん(2)だったと思います。 以前にも本ブログで申し上げたような気がするんですが、『蜘蛛の糸』『杜子春』については、私、小学校一年生の時の雨の日の体育の時間に、担任の先生からストーリーテリングを受けています。(今でも覚えているくらいですから、かなり印象的だったと思います。) しかしたぶんその時は、作者名までは触れられなかったんじゃないか、と。 そんなせいでもないでしょうが、ともあれかなり「青春文学」的な要素が強い(この年になって、フェイヴァレットとして読んでいてもそんな気がします。)芥川の小説が、最近とみに面白いのですが、さて今回取り上げたのは、芥川作品の内の「切支丹物」11作であります。 『煙草と悪魔』『さまよえる猶太人』『奉教人の死』 『るしへる』『きりしとほろ上人伝』『黒衣聖母』 『神神の微笑』『報恩記』『おぎん』『おしの』『糸女覚え書』 これは収録順ですが、同時に作品発表順であります。 これをちょっと、今回私が読んでいて面白かった順に並べてみます。 『きりしとほろ上人伝』『奉教人の死』…… と、二作書いて、後が続きません。 第3位は、『おぎん』あたりかなー、と、そんな気もするんですが、しかしそれもなー、という感じです。 えーっと、前回に続いて、今回の報告も、どーも、「芥川話」といいますか、なんか、「芥川漫談」みたいになっているのですが(だって好きな作家の話って、そうなってしまいますよね。別に好きな作家じゃなくて、好きなアイドルなんかでも同じだと思いますが)、しかしこれではいかんと反省いたしました。 後は頑張って、すっきり短く切り上げます。 今回の私のテーマは二つです。 (1)なぜ芥川は「切支丹物」を書いたか。 (2)『きりしとほろ上人伝』『奉教人の死』のすばらしさ。 やれやれ、今回も残り少しになって、いきなりこんな大きなテーマを二つも持ち出してどうするつもりなんでしょうね、私。 いえ、でも、元々そんなに難しいことを考えることのできないアバウトな頭ですので、書き出せばきっとぱたぱたと書き終えてしまいます。 まず一つ目のテーマのキーワードは、「悪魔」ですね。 今回収録の11の短編の中にも、数多くの極めて魅力的で人間的な悪魔(悪魔が人間的!)が描かれています。 これはきっと、筆者は大いに楽しみながら書いたと想像しますね。 だって、切支丹物で悪魔とくれば、大ボラから真実がましい嘘まで、とっても幅広く何でも書けそうではありませんか。天性の小説家の芥川が、これを見逃すはずはありません。 というより、この「切支丹物」というジャンルに気づいた時、彼は思わず膝を打ったんじゃないでしょうか。 これは何と豊かな鉱脈を発見したものだ、と。 うーん、このテーマは楽しそうですねー。 しかし、二つ目のテーマに移ります。 とはいえ、『きりしとほろ上人伝』『奉教人の死』のすばらしさを述べるといっても、もはやこの二作は、芥川切支丹物の最高傑作として、すでに人口に膾炙されて久しいものであります。この上私がつけ加えることなど、ほとんどありません。 ただ今回、特に私が思ったのはふたつ。 (1)何といっても、この二作の文体のすばらしさ。特に『きりしとほろ』には、ユーモアの底にポエジーが煌めいていますよ。 (2)『きりしとほろ』と太宰治『ロマネスク』。『きりしとほろ』と中島敦『名人伝』。きっと、すでに比較研究があると思うんですが、特に『ロマネスク』は、剽窃とは言い過ぎとしても、換骨奪胎、影響下、続編のような、くらいの言葉は言えそうな影響関係だと思います。 ということで、いやー、やはり芥川は、ますます面白いですね。 よろしければ、こちら別館でお休み下さい。↓ 俳句徒然自句自解+目指せ文化的週末 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.03.30 06:41:17
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