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カテゴリ:BOOK
恩田陸の「Q&A」。 地の文章がなく、すべて会話(様々なQ&A)によって構成されているという形もおもしろいが、読めば読むほど怖くなった。 本書紹介 都下郊外の大型商業施設において重大死傷事故が発生した。 死者69名、負傷者116名、未だ原因を特定できず―多数の被害者、目撃者が招喚されるが、ことごとく食い違う証言。 防犯ビデオに写っていたのは何か?異臭は?ぬいぐるみを引きずりながら歩く少女の存在は?そもそも、本当に事故なのか? Q&Aだけで進行する著者の真骨頂。 ネタバレになるかもしれないが、これってありえるよな~って背筋がぞっとした。 本書の死傷者は、すべて圧死やエスカレーターからの転落死など、人がパニックに陥って、人によって起こされたものばかり。 誰かが言った「火事」や「有毒ガス」の痕跡はどこにもない。 もし、混雑したどこか(大型商業施設やコンサート等のイベント会場、通勤時の駅など)で、誰か数人が数箇所で「逃げろ~!!」って叫んだら…。 パニックがパニックを呼び、ほんの小さなきっかけで、訳がわからなくなった人は突然凶暴になる。 張り詰めた空気が一気に爆発し、急に「生」に執着した人間は、我先に逃げ場を求め、誰を構うことなく譲ることなく、人間自身が凶器になる。 こういうことって、実は身近に潜んでて、明日自分がいる先で起こらない事件とも限らない。 そういう状況に陥ったとき、私も落ち着いて対処できるとは思えない。 あっというまに暴徒と化すだろう。 誰かがオモシロ半分に、起こさないとも限らないような事件。 この作品はフィクションだが、なんだかとてもリアリティがあって怖かった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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