文化住宅推進委員会
パソコンの学校に通っていたときの友達(ぞうりむし)の家に遊びに行った。彼女は最近、私の職場近くに引っ越してきたのだが、事前に見せてもらった住まいの外観は、「引越しなさい」と即座に進言した、昭和の臭いがプンプンする典型的な文化住宅であった。住宅を囲むフェンスは、破られておりその機能は果たしていない。遠くからの撮影であるにも関わらず、その佇まいには「人の気配」が感じられない。「変な臭いがする」というオマケつきのイワク有物件である。「絶対アンセなら気に入る!隣が空いたら連絡するから是非引っ越して来い」と声を大にして胸をそらせるぞうりむしであるが、事前情報からは「長所」なる部分が全く聞き出せていなかった。しかし、一歩中に入ると、そこはいわゆる「おされ~な女子の部屋」であった。全体に「北欧テイスト」にまとめられた室内は、ウラ寂しい文化住宅の様子を完全に消し、雑誌に出てくる「私の自慢の部屋」みたいになっていた。週末ごとに手作りで「DIY」しているという彼女の実力が、これほどのものとは正直思わなかった。「ドラフト単独1位指名させていただきます」私が引越し、一人暮らしなどを始める場合、必ずこの人をアドバイザーにしようと心に誓った。文化住宅は広くて家賃も安い。防犯対策さえ怠らなければ、多少リフォームしても怒られないし、何よりやりがいがある。そうりむしは熱く、熱く私に語り続けた。もともと「何かを作る」ことが好きな私。この部屋を見て、俄然やる気が湧いてきた。「文化住宅、アリやな」さらに作ってくれたご飯も、とてもおいしかった。「結婚してください!」思わずプロポーズまでしてしまったとさ。