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2011年03月02日
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映画はお話的にいまいち欲求不満が残ったので本を読んでみました。

この「悪人」はシナリオと原作が同じ人というだけあって、映像とかなり近いものでした。
もちろん登場人物の、映画より細かいエピソードなどの記載はありますが、
読んでいると映画のシーンがそのまま思い出されていきます。

で、欲求不満だった部分が物語の最後で説明されていました。
映画を観たあと感じていたものが、やはりそうだったのねって納得に変わりました。
言葉で説明しなくても感じさせてくれたのだから、
映画の表現が充分だったということですね。


登場人物それぞれの行動と、
その行動の後ろに隠れている(隠してある)気持ちっていうのが、
とっても複雑で興味深い。

それが「人間のにおい」(増尾の親友鶴田の言葉)なんだね。
人とリアルで繋がれなくなったらその匂いがわからなくなる。
疑似体験でもバーチャルな接触でも、
その匂いを「想像」できるかどうかがすごく大事なことなんだろうな。

祐一がどれほどやさしい人間なのか、
それはおそらく意図したものではなく、本能のやさしさ。

本を読んでちょっとがっかりしたのは事件後の光代の気持ち。
え?光代!本当にそう思えるの?って。
ここだけは映画を観たあとに考えていたのと違ったなぁ。
もっとも、光代も自分で自分にそう思い込ませてるだけなのかもしれない。

本当のことなんて自身にもわからない。
ましてや、他人のことを解釈するときにどれだけ真実があぶりだされるのか。
そんなことも思いました。

祐一の取り調べの中の言葉がもっとも如実にそれを示している。
彼の真実はおそらく誰にも伝わらないままなんだろうな。

映画を観たとき、物語り的にはあまりぱっとしないように感想を持ったけど、
いやはや、かなり深い深いお話だったらしい。

お話として、とても面白くて途中で読み止められなくなって
一気に読み終わってしまいました。

うーん、もう一度読んでみるかな。








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最終更新日  2011年03月06日 23時28分22秒
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