行ってきました、デューラー版画展。
ついに。やっと。行ってきました、アルブレヒト・デューラー版画展。11.22から3.21までの4ヶ月、いつでも行けるワイ、とたかをくくってたら、なんのことはない、まさに矢のごとく日々は過ぎ去り、もう2月も終わり。こ、これはいかん、結局行けなかったら絶対超後悔する、と思い、金曜の退社後、行ったのである。平均退社時間が10時(それでも少し最近早くなったんですが)なので、とにかく飲み会以外では強烈に早い。朝から”今日は早く帰ります、帰ります”と連呼して、5時30分の電車に飛び乗った。いやー、外が明るいうちに退社するのって、罪悪感ありますね。→もっと、堂々と帰りたいもんだが。確か、開館時間は19:00だったはずで、1時間程度は見れるはず、とふんだ。展示枚数は不明だが、1時間、ではちょっときついか・・・しかし、今日見れないと、一生デューラーの生版画は拝めないかもしれない、という思いで、後戻りしかねない足を励ます。金山総合駅へ到着。名古屋ボストン美術館は駅前のホテルに併設されている。美術館、好きなんだが、あまり特別展へ足を運んだ経験は無い。記憶に残っているところでは、神戸の王子の美術館でみた、フェルナン・クノップフ展(ウイーン象徴派展だったかな?)、どこかで見たラファエル前派展、くらいで、まあ、大学時代は美術館がキャンパスに近かったので、何回か行った記憶はあるが、展示会としては印象がない。(あと、よくいくのは仏像系ですね。これはよくいく)今回は久方振りに、個人的に”これは絶対いかないかん”的盛り上がりがあった展示会である。デューラーといえば、小学校の教科書に、”メランコリア”(正確にはメランコリア1ですよね)が、ルソーの横くらいに紹介されていて、そのころの僕は、”教科書に紹介されていたらつまらない”と思い込む癖があったので、印象としては、気になったが、残念ながらそれ以上研究することは無かった。しかし、最近になって見た、デューラーの”黙示録”は、なんというか、先ず、竜(悪魔ですな)がよかった。それと戦う天使もよかった。線に込められた緊張感、色気、そしてそれまでにない迫力のある構図。なんと作者は当時26歳くらい、とまだまだデビュー?したてだったというからすばらしい。ぜひデューラーを一躍人気画家に押し上げた黙示録を見ねばならん、というのが今回のそもそもの発端。そうでなければ、観覧料1200円、どうせ図版もほしくなるだろうから2500円くらい?を覚悟しなければならない、美術館行き、というのは、厳しい我が財政状況からすると、よっぽど見たい作品がない限り難しいのである。あとまあ、一般的に人気のある印象派とかには、あんまり惹かれるものがない、というのもある。まあ、いやらしいディレッタント気取りのような気がしますが・・・。窓口で金を払おうとして、ひとつHAPPYなことが。夕方5時以降は、なんと入場料200円引き、ということである。いいねー。名古屋駅で降りて、前売り券買って200円浮かせようか、と真剣に悩んで、やはり時間がないから、通常価格での入場を覚悟していた身としては、非常に嬉しい。入場すると、横に外国人夫婦が。やっぱ、さすが外人。アカデミックやなー。ちょっとうらやましいような気がするのはなぜだろうか。入場しての感想。・・・たまにこういう静かな感じ、いいですなあ。お客も少ないし。お目当ての黙示録、聖書系の作品、3大銅版画。円熟期の3作品はさすがの迫力。教科書時代の印象も薄れたメランコリアもよかったが、”書斎の聖ヒエロニムス”、これは”騎士”や”メランコリア1”と比べ、静かな作品で今まで知らなかったが、窓から差し込む光が飾りガラスを通して壁に模様を映す表現、一心に翻訳に精を出す聖人、そして床に寝そべる愛嬌あるライオン、このあたりが非常にわが琴線に触れてしまったのである。今回特に気に入ったのが”銅版画受難伝”の中の”磔刑”。非常に小さな画面から浮かび上がってくるようなキリスト。目を極近接近させてはじめて識別可能な、細かすぎるビュランの冴え。”いや、こらほんますごいわ”といった感想しか出てこないわけで。閉館時間も迫る中、2回ほどうろうろして、結局常設展へは行かず。売店へ展示会カタログを買いにいった。今回のもうひとつのうれしい誤算は、カタログが1000円と思いのほか安かったこと。2500円はするか、と覚悟していったのだが、いささか拍子抜け、というカンジ。ただしこのカタログ、全展示数104点中68点の掲載のみ。そうか、やはり全部載せると、2000円近くなってしまうのかな。残念ながら、僕がビュランの神技に感服した、”磔刑”は含まれていなかった。あの感動の彫線は、我が記憶の中に残しておくほかなさそうだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーまあ、全体としては大満足の一日。うれしくてつい奮発して、絵葉書を1枚購入(150円)。ケーキを食べる少女のスカ-トを引っかいて、猫三匹がおねだりしている絵。並み居る印象派巨匠のものを差し置いて、こんなものを買うわけです。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー神経を使う(だろう)ビュランで、あれだけ繊細な作品を作ったデューラー。パソ画でマウス描きがいかにつかれようと、そんなこといっていてはイカン!と思って書いたのが、”一つ目猫”。何の関係あるのか、デューラーに。