|
カテゴリ:胃・腸・内臓・おなら・便・痔・臍・二日酔
みんなの家庭の医学 (2012/3/13放送)より
治らない胸焼けの原因は話題の病ではなく・・・ 46歳男性Iさんの症例 住宅の建築やリフォームを手がける大工さん 妻と3歳の娘の笑顔が大好きなマイホームパパ Iさんにちょっとした異変 お昼時 特に急いで食べたわけではなかったのに おにぎりが喉につかえてしまった その後も時々 つかえることはあったものの お茶や水を飲めば流し込めるため 特に気にすることはなかった しかし 病は知らず知らずのうちに進行 半年後 胸焼けが頻繁に起こるようになり 食べたものが喉まで上がってきて 口の中にすっぱさが広がることも・・・ 心配になり近所の総合病院で内視鏡検査 すると「食道がちょっと赤くなっていますね」 下された診断は「逆流性食道炎」 これがIさんに下されたファーストオピニオン 「逆流性食道炎」 食道と意の接合部 噴門が開きやすくなり 胃酸や内容物が逆流 食道に炎症を起こす病 主な原因は加齢・肥満・タバコ・酒など ここ10年で患者数が急増し 日本人の約6人に1人が患っている病 しかし Iサンの診断は セカンドオピニオンで覆されることになる 早速 胃酸を抑える薬の飲み始めたIさん 案の定 胸焼けは少し軽くなったような気がします ところが 喉のつかえはむしろ悪化 何を食べても一口目は必ずつかえるようになった お茶や水で流しこまなければ食事を飲み込むことができません そしてついに決定的な異変が。。。 就寝中 これまでなかった激しい胸の痛み襲われた それはまるで食道がねじ切られるかのような痛み “もしかしてやばい病気だったら・・・” はたして治らない胸焼けの本当の正体とは? 再び 内視鏡検査を受けたが 症状はひどくなっているのに炎症は全く悪化していない 逆流した胃酸でただれがひどくなっているのかと思いきや 前回の検査時と食道に変化なし 不可解な状況に医師も手をこまねいてしまった 医師が食道と胃の専門家を紹介してくれた 兵庫医科大学病院 上部消化管科 教授 三輪先生 これまでに食道や胃の病に悩む1万人以上の患者を救ってきた名医 問診が始まった Iさん:食べ物があがってきて酸っぱい感じでいっぱいになる 医師:どんな酸っぱさですか? Iさん:お酢を飲んだ時みたいに喉が締めつけられるような感じで 酸っぱさを強調しているが常に酸っぱい逆流とは限らないのでは? 患者は一番つらかった時のことばかり訴えるもの だから患者の訴えを疑ってかかるという先生 まさに 事細かな問診が続いた 医師:いつも同じ酸っぱさですか? Iさん:酸っぱくないときもあります 名医の視点(1)酸っぱくない逆流がある 続いては食べ物のつかえ方を確認 医師:どんなものがよくつっかえますか? Iさん:何を食べてもつっかえちゃうんです 医師:つっかえるのは食べ物だけですか? Iさん:最近はお茶や水でもつっかえるんです 名医の視点(2)水ですら飲み込むのが困難 そして激しい胸の痛みについて確認 医師:どんな時にどこが痛みますか? Iさん:お腹が空いた時に胸がギュー でも痛むのは本当にそのタイミングだけ? 医師:痛むのはお腹が空いた時だけですか? Iさん:ご飯を食べている最中にもギューっとくるときもある 医師:その時はどこが痛みますか? Iさん:やっぱり胸です すると先生は突然 医師:私が触りますので痛む場所になったら教えてください 食道沿いに喉のほうからゆっくり触り始めた すると 「そこですと」いった場所は 胸といってもみぞおちの少し上の辺り 名医の視点(3)食事中みぞおちの上部が痛む 先生の脳裏にある病の名が浮かんだ いよいよその確認作業 「明日胃のレントゲンを撮りましょう」 「前の病院で2回も内視鏡の検査をしましたけど」 「内視鏡ではわからない病気があるんですよ」 バリウムを飲んで胃のレントゲン検査を受けたIさん 結果は・・・ Iさんの食道は開いて逆流しているのではなかった 逆に閉じてしまっていた 病の正体とは「食道アカラシア」セカンドオピニオン 正常な食道 口から入った食べ物を蠕動運動で推し進め 噴門が開いて胃に送り込む 食道アカラシアは何らかの原因で 食道の下の方の括約筋が緊張し 噴門がほとんど閉じたままになる病 Iさんのレントゲン写真には 飲んだバリウムが胃の入り口でつまり 食道にたまってしまっていた ひどい場合には 食道がつまった食べ物で 大きく膨らみ変形しまうこともある 正常な食道と比べると一目でわかる Iさんは噴門が緩む逆流性食道炎ではなく 逆に閉じてしまう病だった この2つの病 症状は非常に似ている なぜこのセカンドオピニオンに至ったのか? 先生が注目したポイント「酸っぱくない逆流がある」 これは逆流が胃からではなく 食道そのもので起こっているひとつの証拠 続いてのポイントは「水ですら飲み込むのが困難」 食道アカラシアでは噴門が閉じてしまうため 水ですらつかえてしまう そして最後が「食事中 みぞおちの上部が痛む」 逆流性食道炎の場合 胃酸の逆流による痛みなので 食後1~2時間や空腹時に痛むのが一般的 Iさんの場合 食事中にも痛みが起きるため 逆流性食道炎の可能性は低いと先生は考えた しかも食事中はみぞおちの上部に痛みを感じることも突き止めた これは食べ物が噴門で詰まる時の痛み 食道アカラシアの特徴的な痛みだった ここにもう1つ謎が! レントゲンでわかる食道のつまり 2回も内視鏡の検査を受けていたのに なぜ食道にたまった食物が発見されなかったのか? ここに食道アカラシアという病の落とし穴があった 内視鏡検査を受けるときは 5時間前から食事を控えるので詰まったところが見えない 内視鏡検査は食道と胃を見るので胃をからにする必要がある 食道アカラシアでは完全に蠕動運動がなくなったり 噴門が開かないことはないので内視鏡検査ではわからない 食道アカラシアは10万人に一人という珍しい病 逆流性食道炎に比べて喉のつまり感が強い 胸焼けが起きることもあり逆流性食道炎と間違われやすい 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[胃・腸・内臓・おなら・便・痔・臍・二日酔] カテゴリの最新記事
|