お母さんへ。



ごめんなさい、おかーさん。

私ね、(好きな人の名前)が大好きなんだよ。

ごめんね、いちばん歩んで欲しくなかった道に、行ってしまってごめんね……。

でもね、私ね、傷つけられてなんかいないよ。

だから、安心してね。

しあわせだよ。

すごく。すごく。

こんなことで、言われたくないって解かってるけど、

おかーさんに、どうしても言いたかったんだ。

生んでくれてありがとう、おかーさん。

私ね、大人になってね、(好きな人の名前)に逢えてよかった。

ずっと、おかーさんがひとりになってから『生まれてこなきゃ良かった』って思ってたの。

でも最近、生まれてきて良かった…そう思うんだ。

皮肉だね、ごめんね…ごめんなさい…

でも。

生んでくれてありがとう、おかーさん。




昨夜。雨の夜。

私は、母にメールを送らずにいられなかった。


だってずっと……あれからずっと……

なんで生まれてきたの、私。

生まれてこなきゃよかったよ。

ずっとそう言って、母を泣かせて来たからだ。


いちばん苦しかったのは母なのに、

(たとえ、別れた原因が母に少しはあったとしても)

私がいちばん苦しんでるような顔をして、

母が再婚するまでずっと……母をさらに苦しめてきたのは私だったから。


どうしたらいいんだろう。


でも、どんな形であれ、

『生まれてこなきゃよかったよ』と、

身体を痛めて私を生んでくれた母に対して、その言葉を吐いてきた

私の罪は計り知れないと思った。

だからこそ、生んでくれてよかったと、伝えたかった。

でも、こんな形でしか伝えられない私を、どうか許して………


何となく、母が、このメールで、泣いてしまった気が…した。


なんで。

こういう生き方しか出来ないの………？



せつないよ。



でも、今、確かに、ここに、この胸に、

『しあわせな想い』を宿しているから、

ちゃんと、それは母に伝えるべきだと思ったの。



生んでくれて……ありがとう。

ごめんなさい。

こんな風にしか、今はしあわせを伝えられないけど。



許して…………。