私がルートヴィヒII世に興味を持ったのは高校の頃だったかしら…
最初はあの夢のようなノイシュヴァンシュタイン城に心を奪われ、どんな人が作ったんだろう…って本などを買って読んだのですが、お城に関しては実は近代建築だったと知りガッカリ…
中世の建造物じゃなかったのか…
そういえばあまりにキレイすぎるし、内装なんかも歴史の浅さを感じるし…
その後、お城に関しての興味は薄れていくのですが、やっぱそのお城を築城したルートヴィヒII世というバイエルンの若き国王の辿った波乱万丈な人生に惹かれ…
当時、結構そういう文献を漁って読みました。
関連でオーストリアの皇妃エリザベートとか嵌ったのは十代の頃の話。。
それから暫く遠ざかって興味も薄れていたのですが、たまたま文庫版のこのマンガを見つけて、買ってしまいました!
一瞬、背表紙のBoys Loveの文字を見て躊躇ったんですけどね…
まぁ彼がそういう性癖の持ち主であったことは知っていたし、まぁそれを知った高校の頃はショックを受けましたが、芸術家などにもそういう人たちがいっぱいいたことを知り、また現代に生きる身の回りの芸術家にもそういう人がいるのを見てきた今は、随分と免疫も出来てますし。。。
ただはじめは失礼ながら、史実を曲げられ、そういったただのホモ本になっていたら嫌だなぁって思ったのですが、まぁ一番の寵臣であったホルニヒとの愛を美化して語られている面はあったものの、ちゃんと史実に合わせて書かれた歴史ロマンのようだったので手に取ってみました。
19世紀後半バイエルン公国。
世界史などではあまり重要視されないし、ましてルートヴィヒII世なんて教科書に出てきたっけ?っていうくらい西洋史上重要度の薄い国と国王ですが、やっぱノイシュヴァンシュタイン城などの建築や芸術推進など、文化への貢献から見るとかなり重要な人物と言えると思う。
特にヴァグナーを語る上ではこの人の存在は欠かせない。
(この王サイドからヴァグナーを知ると、本当にヴァグナーってヒドイ人物に思えて仕方ない…)
現を抜かし、夢の世界に生きた彼は狂王と呼ばれながらも、今現在も地元民から愛される所以は、そういった彼の愛した芸術の美しさが残っているからだと思う。
もっと世俗的に言うと、今もその自然の中に溶け込むようなロマンティックさを持った美しいノイシュヴァンシュタイン城は、ヨーロッパでもロマンティック街道の終点として人気の観光スポットの一つだったりするし…
話は脱線しますが、ディズニーランドのシンデレラ城がこのお城をモデルにされているのは有名な話ですが、このお城はヴァグナーのオペラに登場する中世のお城をモデルにしているし、そのヴァグナーはオペラ『タンホイザー』でアイゼナッハにある中世のお城・ヴァルトブルグ城をモデルにしているし…
何か昔から脈々と繋がってきているものがあって面白いと思う。
それはさておき、思うのだけど、彼は国庫を食いつぶし、近隣諸国から借金をしまくって、この城を初めとする豪華な城をいくつか造りましたが、彼の遺言どおり、彼の死後、城が爆破されていたら、本当にただの狂王…いや、バカ王で終わっていたでしょうね~。。
王としては最低の王だと思います。
頭は良かったそうですが、天才と何とかは紙一重だったんでしょうか?
もしくは何でも読めすぎてしまって、現実世界…生身の人間の見えなくてもいい汚い部分まで全て見えてしまって、この世に嫌気がさしてしまったのかもしれませんね。
でも逆に今の世の中、本当に嫌な物をいっぱい見せ付けられてしまうので(マスメディアなどの発展も原因の一つだと思う…)、彼の汚い現実の中ではなく、綺麗な夢の世界で生きていたいっていう心に共感してしまうのかもしれません。
このマンガを読んでいたときも、以前彼の人生を綴った本を読んでいた時も、かなり彼の狂気に引き込まれて行きそうになりました。
だって心地いいんですもの、綺麗な綺麗な夢の世界と言うのは…
彼は万人のためには王になってはいけない人物だったでしょう。
でも今もこうやって人の心に残る魅力的な人物だったことも確かです。
確かに「私はすべてにおいて永遠に謎でありたい」と言い残した言葉通り、今もその死因は謎のまま。
そのミステリアスさにも人の興味を掻き立てるものがあるのでしょう。
でも当時でも虚偽の診断により、王座を追い落とされたにも関わらず、人々から憎まれていたのかと思えば、葬儀の列は長く続いたそうで、それなりに愛されている部分もあったのかな~って感じたり…
本当に比較的近代で資料も残っているはずなのに、知れば知るほど謎の深まる人です。
なんだか、死後も人々から忘れ去られないようにとルートヴィヒII世が仕掛けた罠にまんまとハマッてしまっているような気がしますね。。
何だかマンガの感想では無くなってしまいました(^。^;)
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