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カテゴリ:読書感想
今までいくつか東野さんの作品を読んできたので、このタイトルと背表紙に書かれたあらすじを読んだ瞬間ピンと来ましたね。 クローニングの話か… 先日読んだ『変身』もそうでしたが、自分の利益…違うなぁ~、もっと原始的な欲望…醜いまでの生への執着…今手にしている権力を絶対逃してなるものか!っていう所にたどり着くのでしょうか。 権力があるからその圧力によって人を人とも思わない、自分が生き延びるための実験道具としてしか思わない、そういう本編には直接出てこない陰の存在に物凄く腹立てながら読みました。 そしてその権力を傘に来て、自分のこれまた研究欲を満たすためだけに、非倫理的な実験を行い、その始末に人を殺すことまで厭わない研究者たち。 まぁその人を実験動物としか見てないような人たちだから、人を殺すのも何とも思わないんでしょうねってこれまた腹立たしく思いながら読みました。 でも本当にどういう状況にあれ、生まれてきた子供には何の罪もないんですよ。 これだけはハッキリ思いますし、他の人たちにもそう思って欲しい。 って言うのが、この話はフィクションっていうだけではなく、どこかの国の研究施設で実際に行われていても不思議ではない話だと思うので… 実際に真実のほどは定かじゃないけど、イタリア辺りだったか、そういう実験をやって成功させたとかいうニュースが数年前に流れたことがありましたよね~。 全ての研究者がそういうわけではないと思いますが、やはり一部にマッドなサイエンシストがいることは確かなわけで… 極秘裏にそういうことが行われていても不思議はないと思うのです。 そして普通ではそういう研究費用を集めることが出来なくて、心で思っていても中々現実問題としてそういう研究を続けることが出来ないんだとしても、やはり人間は貪欲なので、自分のため…理由はいろいろあると思いますが、そういうので自分のクローンが欲しいと思う人間が出てくるのでしょうね。 きっとそういう欲っていうのは、お金持ちや権力のある人間の方がより強いのかもしれないなぁって思います。 丁度タイトルも似ていますが、『変身』と『分身』を読んで、清水玲子さんの『輝夜姫』というマンガを思い出しました。 こちらはファンタジーというかSF入っていますけど、中々奥深い考えさせられる作品でしたよ。 クローンの方に話が行ってしまいましたが、作品の方はやはり最初から惹き付けられる書き方で、二人の女性の話がほぼ同時進行で交互に出てくるのが面白いなぁって思いました。 彼女たちの話が交わるのは一体いつか、ちょっとドキドキワクワクハラハラしながら読みましたよ。 でも東野さんの話って、やっぱり後味が… こういう結末しかないですよね、この手の話は…ってわかっていながらも、ちょっと悲しい。 そして突然物語が終わるんですよね~。 その後が少しもない。 後は読者の想像? ええ~、まぁそれも有かもしれませんがちょっと消化不良です… 連日の胃痛は、実は東野さんの作品のせいでしたか?…な~んて。 全く少しもその後を示唆するものがないのがね~。 読みながらだんだん真相とバックの黒幕がわかってきた時に、その黒幕が死んでしまえばうまくまとまるんじゃない?って思ったんだけど、そう行かないところが、現実社会の不条理も映し出されているのでしょうか。。 まぁそんな感じで、面白かったですが、後を引く重いものも感じました。 日記のコメントのついでに書き込んじゃうのはOKですよ( ^ー゜)b お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 26, 2008 05:31:30 AM
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