伊坂幸太郎著『死神の精度』
金城武主演の映画、観に行きたかったんですけど、忙しくてタイミングを逃してしまったので、今になって原作を読むことにしました。実はもうスッカリと忘れていたのですが、図書館で見つけたので...死神の職務...上層部に選定された、突発的な事故や事件に巻き込まれて死ぬ人間を、1週間調査して最終決定を下す。多くの場合は『可』であり、例外はほとんど無い。それでも稀に『見送り』となるケースもある。病死や自殺は管轄外である。このように突発的な災害や事故、事件に巻き込まれて亡くなるのは寿命ではなく、後から決められるものであり、これはバランスを保つために決められる。『可』と認定された人間は調査開始から8日目に何らかの事情で死ぬ。しかし調査期間中の7日間は何があっても死なない。死神の特徴...死神は対象となる人物に合わせた人間に成りすまして、その人物が亡くなる1週間前からその人物の周辺に現れて調査する。名前は地名を名乗っているが、この名前は変わらない。人間と同じく色々なタイプがいるらしいが、共通して言えることはミュージックが大好きだと言う。ジャンルにこだわりは無いが、とにかく暇さえあればCDショップなどに行って、視聴コーナーでヘッドホンを耳に当てている。音楽であれば何でもいいらしい。面白い設定だなぁって思いました。表題作の『死神の精度』の他、『死神と藤田』『吹雪に死神』『恋愛で死神』『旅路を死神』と続き、最終話に『死神対老女』で終わります。全て『千葉』と名乗る死神のケースファイルといったところで、一つ一つ別々の話なのですが、最後の『死神対老女』でそのいくつかが繋がってきて、ちょっとホロリ...涙が出てくるほどでもなかったですが...『千葉』と名乗るこの死神が仕事をする時はいつも雨...もしくは雪晴れ間を見たことがないという死神は、ミュージック以外の全てに興味が無い。でも仲間の中では適当に形だけ調査した振りをして全て『可』と報告をする者がいるけど、彼は仕事はキチンとこなさなければならないと思っている。人間で言うなら真面目で面白みの無い堅物と言ったところなんだけど、人間の世界に興味の無い彼には、比喩を使った言葉が通じなかったり、現代人には暗黙の了解で通じることが通じなかったりと、人間で言うと天然な発言をかますのが面白い。本当は人間に興味が無く、関わりたくないと思っているのに、仕事だからと真面目に関わり、関わった人間に「変わった人」と言われる。それも彼にとってはどうでもいいことらしいけど...この話を通して著者が何を伝えたかったのかなぁって考える。人はいつか死ぬ。そしてそれは物凄く気まぐれなものかもしれない。でも人は確実に死ぬ。死とは何か、生とは何か...そんなことも死神にとってはどうでもいい話かもしれませんけどね。人間はその人生を生きている当事者なわけだから、そういうわけにはいかない。最後の『老女』が語ったとされる言葉に全てが集約されているのかもしれない。「幸か不幸かなんてね、死ぬまでわかんないんだってさ。生きていると何が起きるか、本当に分かんないからね。一喜一憂してても仕方が無い。棺おけの釘を打たれるまで、何が起こるかなんて分からないよ」そうだね。だから人生は面白いのか、不安だらけなのか...それをどう感じるのかは人それぞれなのかもしれないなぁ~。 日記の内容に関係のないコメントは、掲示板(BBS)の方へお願いします。日記のコメントのついでに書き込んじゃうのはOKですよ( ^ー゜)b