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七転八べぃ≒(七転八倒+七転八起)÷2 ≒あさ・がお

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2009年01月19日
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(後編)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
かみしばいのつづきがはじまるよー。
えのないかみしばいのつづきが、はじまるよー。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

            
前編はこちら

9)
グスタフさんが北の小屋への帰り道を歩いていると、
ひろばのベンチにこどもがひとりで、座っていました。
もう、真夜中だというのに、どうしたことだろう。
<注意その5・むやみに、人に声をかけてはいけないよ。声でばれてしまうかも。>
でも、この子は大丈夫のようです。
一度もあったことのない子、よその町からきている子でしょうか。
きっとグスタフさんのことは知らないはず。

「ぼうや、迷子になったのかい」
「迷子ではありません。」
その子は、目もあけずにうつむいたまま、こたえました。
広場のベンチにすわっているその子に、冷たい風が吹きつけています。
「きみの名前は?」グスタフさんがとなりにすわっても、かおをあげません。
「クルト」
「どこへいくんだね。」
「・・・・・・・・・・・。」そのこは、こたえませんでした。
「はなしてごらん。ちからになれるかもしれない。」
「お父さんのおとうとをたずねてきたのだけど、もう引っ越していて会えなかったんです。
 ぼくのお父さんが亡くなってしまって・・・。100日くらいまえに、9月のことでした。
 しばらくは、お父さんのはたらいていた工場を手伝っていたんですが、からだがちいさいぼくでは、しごとがおそくってダメだって・・・。
 そうしたら近所の人が言ったんです。おとうさんのおとうとなら、きっとちからになってくれるだろうって。それで、いえにあった手紙をみて、この町まできたのだけど、会えなかったんです・・・。」
「おなかはすいてるかい。いまはこれをたべておきなさい。」
グスタフさんは、袋のなかからビスケットとジャムの小びんを、とりだしました。
そのときやっと、クルトはうなだれていたかおをあげて、グスタフさんをみあげます。

10)
「あなたは、サンタさん?」
「ここだけの内緒のはなしだよ。自分はサンタさんのお手伝いをしているんだ。
ここは寒いから、歩きながら話をしよう。」
さくさくさく、さくさくさく、
「クルトくんがほしいプレゼントがあれば、サンタさんにたのんであげるけど、なにがいいかな?」
「うーん・・・・・・・・・」
なかなか、へんじがもどってきません。
「おもいつかないのかい。
そうだ、きみのおじさんをさがしてもらおう。」
「ぼく、ほんとうにプレゼントはいらないです。
  おじさんとは、いちども会ったことがないし。
それより、なにか、ぼくにでもできるしごとはありませんか。
からだがちいさくても、できることがあれば、
おとうさんがいなくても、だいじょうぶだと思うのです。」

そのとき、おいしいシチューのにおいがするおうちのまえにつきました。

11)
グスタフさんはじぶんのおうちのまで、ノックしました。
おくさんが、どあの向うまでくるのをまって、声をかけます。
「こんばんわー、グスタフさんのおくさん、わたしはグスタフさんの友人で、サンタさんのお手伝いをしているものです。」
ドアをあけた奥さんに、グスタフさんは目をぱちくりぱちくり、合図をおくります。
なんの合図かって? 上手に話をあわせるように、たのむ合図です。
「グスタフさんはまだ、おかえりではないようですね」
そしてまた、目をぱちくりぱちくり。
おくさんは、ぱちくりの合図に気がついたようです。
「そうですね、まだ帰ってませんよ。」
「きょうのゆうがた、グスタフさんから、おいしいシチューがあるからと、夜食にさそわれたのですが、まだありますか?」
「はいはい、たくさんありますよ。」
「この子はクルトというのだけど、おなかがペコペコなので、おくさんの得意のシチューをご馳走してほしいんだが・・・。」
「はい、だいじょうぶよ。きょうはたくさんあるから、クルトくんが10人きたって平気ですよ。」
「それからおくさん、かれは今夜とまるところがないそうだ。ここにとめてはもらえないかい。」
「はいはい、それもだいじょうぶ。うちの子たちがつかっていたベッドもふとんもありますから。」
「クルト、わたしはまだ少し、プレゼントをくばらないといけない。今夜はここで、ゆっくり、おやすみ。」

12)
北の町のはずれにある小屋では、6人のサンタさん(先にもどった5人のサンタさんと、おるすばんのサンタさん)が、グスタフさんの帰りを待っています。
「グスタフさんは遅いねぇ。なにかあったのかなぁ。」
「だれだって、はじめてのときは、たいへんなものだよ。まっていれば、かえってくるさ。」
でぶっちょのサンタさんがいいます。
「ことしは部屋のいりぐちに、がびょうをまいていた子がいたよ。サンタさんをみたくて、」
いちばんおおきなサンタさんがいいます。
「きょねんは、げんかんのまえに落とし穴をほったいたずらぼうずが、いたよ。」
やせっぽちのサンタさんがいいます。
「こども部屋のどあに、はりがみがしてあったよ。サンタさん、ことしもありがとう、って」
いちばんちいさなサンタさんがいいます。
「いいこにだけしかあげないはずなのに、いたずらっこにもプレゼントをおいてきてしまうのはなぜだい。」
うっふっふ、みんなは顔をみあわせて、わらいました。

そこへ帰ってきたグスタフさん、みんなにクルトのことをはなします。
かくかく、しかじか。

お留守番の、ちいさなおじいさんがいいました。
「よし、わかった。クルトのために、クリスマスプレゼントを用意しよう。
さぁみんな、最後のプレゼントを届けに行くぞ。」
うっふっふ、みんなは顔をみあわせて、わらいました。

13)
エリカおばあさんのシチューをたべるながら、
クルトはいろんなことをはなしました。
エリカおばあさんは、にこにこ、聞いています。

コンコン、ノックのおとがして、グスタフさんがはいってきました。とぼけていいます。
「はいはい、ただいま。あれ、この小さなおきゃくさんはだれだい」
おくさんがこたえます。
「クルトですよ。こんやは、ここに泊まりますよ。サンタさんがつれてきたお客さんですよ。」
クルトがごあいさつ。
「こんばんは。 おばさん、さっきのひとは、サンタさんじゃないよ。サンタさんのお手伝いのひとだよ」

コンコン、ノックのおとがして、4人のサンタさんがはいってきました。
プレゼントその1、「きみのおとうさんのおとうとさんの住所がわかったよ。いちど手紙をかいてみたらどうだい」
プレゼントその2、「手紙を書くための、切手と、封筒と、びんせんと、えんぴつ。」
プレゼントその3、「そしてこれが、鍵のかかる特製のかばん」
プレゼントその4、「雨にも負けない特製のレインコート」
「かばんと、レインコートですか?」なんかかわったプレゼントだなぁと、クルトはふしぎそう。
「きみがほしいものが、わからなかったので、役に立つものを勝手にえらんできたよ。」
「?????」

コンコン、ノックのおとがして、郵便屋さんの制服を着た、ちいさなおじいさんがはいってきました。
「はじめまして、クルトくん。わたしは、郵便局長です。
サンタさんにきいたら、しごとをさがしているそうだね。」
ちょうど、きみに頼みたいことがあるんだ。
このグスタフさんを手伝って、郵便の配達のしごとをしてくらないか。」
「ぼくが、ゆうびん屋さんのおてつだいをするんですか」
「そう、郵便の配達は重いものはないから、きみでもできるしごとだよ。
お給料もでるし、グスタフさんの家でお世話になって、グスタフさんといっしょに仕事をするんだよ。」
「わぁ。」クルトは、声をあげて笑いました。
「サンタさんとサンタさんとサンタさんと、、えーと、たくさんのサンタさんありがとうー」

「ぼくたちにあったことは、内緒だよ。ほんとは、静かに寝ているよい子のところにしか、サンタさんはこないんだからね。ごはんをたべたら、すぐに寝ること。かぜをひいたら、しごとはできないよ。」

さいごのプレゼントをとどけたサンタさんたち、
うっふっふ、みんなは顔をみあわせて、わらいました。

15)
サンタさんたちがかえるとすぐに、つかれていたクルトは寝てしまいました。
ぐっすりとねいっているクルトのねがおをみながら、グスタフさんは思っていました。
「クルトはどんな大人になるだろう。
お医者さんになるのかな、大工さんになるのかな、船乗りさんになるのかな、
でも、もしも、クルトが郵便屋さんになるようなことがあったら、
いつかは、この子も、サンタさんのお手伝いになってくれるかもしれない。」

グスタフさんは、長生きして、クルトがおとなになるのを、見とどけようとおもっています。
グスタフさんのたのしみが、きょう1つ、ふえました。
配達を頑張ったので、神様がおおきなプレゼントをくれたのかもしれません。

>>>>おしまい

 






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最終更新日  2016年05月11日 20時52分33秒
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