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(後編)※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※かみしばいのつづきがはじまるよー。えのないかみしばいのつづきが、はじまるよー。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 前編はこちら9)グスタフさんが北の小屋への帰り道を歩いていると、ひろばのベンチにこどもがひとりで、座っていました。もう、真夜中だというのに、どうしたことだろう。<注意その5・むやみに、人に声をかけてはいけないよ。声でばれてしまうかも。>でも、この子は大丈夫のようです。一度もあったことのない子、よその町からきている子でしょうか。きっとグスタフさんのことは知らないはず。「ぼうや、迷子になったのかい」「迷子ではありません。」その子は、目もあけずにうつむいたまま、こたえました。広場のベンチにすわっているその子に、冷たい風が吹きつけています。「きみの名前は?」グスタフさんがとなりにすわっても、かおをあげません。「クルト」「どこへいくんだね。」「・・・・・・・・・・・。」そのこは、こたえませんでした。「はなしてごらん。ちからになれるかもしれない。」「お父さんのおとうとをたずねてきたのだけど、もう引っ越していて会えなかったんです。 ぼくのお父さんが亡くなってしまって・・・。100日くらいまえに、9月のことでした。 しばらくは、お父さんのはたらいていた工場を手伝っていたんですが、からだがちいさいぼくでは、しごとがおそくってダメだって・・・。 そうしたら近所の人が言ったんです。おとうさんのおとうとなら、きっとちからになってくれるだろうって。それで、いえにあった手紙をみて、この町まできたのだけど、会えなかったんです・・・。」「おなかはすいてるかい。いまはこれをたべておきなさい。」グスタフさんは、袋のなかからビスケットとジャムの小びんを、とりだしました。そのときやっと、クルトはうなだれていたかおをあげて、グスタフさんをみあげます。10)「あなたは、サンタさん?」「ここだけの内緒のはなしだよ。自分はサンタさんのお手伝いをしているんだ。ここは寒いから、歩きながら話をしよう。」さくさくさく、さくさくさく、「クルトくんがほしいプレゼントがあれば、サンタさんにたのんであげるけど、なにがいいかな?」「うーん・・・・・・・・・」なかなか、へんじがもどってきません。「おもいつかないのかい。そうだ、きみのおじさんをさがしてもらおう。」「ぼく、ほんとうにプレゼントはいらないです。 おじさんとは、いちども会ったことがないし。それより、なにか、ぼくにでもできるしごとはありませんか。からだがちいさくても、できることがあれば、おとうさんがいなくても、だいじょうぶだと思うのです。」そのとき、おいしいシチューのにおいがするおうちのまえにつきました。11)グスタフさんはじぶんのおうちのまで、ノックしました。おくさんが、どあの向うまでくるのをまって、声をかけます。「こんばんわー、グスタフさんのおくさん、わたしはグスタフさんの友人で、サンタさんのお手伝いをしているものです。」ドアをあけた奥さんに、グスタフさんは目をぱちくりぱちくり、合図をおくります。なんの合図かって? 上手に話をあわせるように、たのむ合図です。「グスタフさんはまだ、おかえりではないようですね」そしてまた、目をぱちくりぱちくり。おくさんは、ぱちくりの合図に気がついたようです。「そうですね、まだ帰ってませんよ。」「きょうのゆうがた、グスタフさんから、おいしいシチューがあるからと、夜食にさそわれたのですが、まだありますか?」「はいはい、たくさんありますよ。」「この子はクルトというのだけど、おなかがペコペコなので、おくさんの得意のシチューをご馳走してほしいんだが・・・。」「はい、だいじょうぶよ。きょうはたくさんあるから、クルトくんが10人きたって平気ですよ。」「それからおくさん、かれは今夜とまるところがないそうだ。ここにとめてはもらえないかい。」「はいはい、それもだいじょうぶ。うちの子たちがつかっていたベッドもふとんもありますから。」「クルト、わたしはまだ少し、プレゼントをくばらないといけない。今夜はここで、ゆっくり、おやすみ。」12)北の町のはずれにある小屋では、6人のサンタさん(先にもどった5人のサンタさんと、おるすばんのサンタさん)が、グスタフさんの帰りを待っています。「グスタフさんは遅いねぇ。なにかあったのかなぁ。」「だれだって、はじめてのときは、たいへんなものだよ。まっていれば、かえってくるさ。」でぶっちょのサンタさんがいいます。「ことしは部屋のいりぐちに、がびょうをまいていた子がいたよ。サンタさんをみたくて、」いちばんおおきなサンタさんがいいます。「きょねんは、げんかんのまえに落とし穴をほったいたずらぼうずが、いたよ。」やせっぽちのサンタさんがいいます。「こども部屋のどあに、はりがみがしてあったよ。サンタさん、ことしもありがとう、って」いちばんちいさなサンタさんがいいます。「いいこにだけしかあげないはずなのに、いたずらっこにもプレゼントをおいてきてしまうのはなぜだい。」うっふっふ、みんなは顔をみあわせて、わらいました。そこへ帰ってきたグスタフさん、みんなにクルトのことをはなします。かくかく、しかじか。お留守番の、ちいさなおじいさんがいいました。「よし、わかった。クルトのために、クリスマスプレゼントを用意しよう。さぁみんな、最後のプレゼントを届けに行くぞ。」うっふっふ、みんなは顔をみあわせて、わらいました。13)エリカおばあさんのシチューをたべるながら、クルトはいろんなことをはなしました。エリカおばあさんは、にこにこ、聞いています。コンコン、ノックのおとがして、グスタフさんがはいってきました。とぼけていいます。「はいはい、ただいま。あれ、この小さなおきゃくさんはだれだい」おくさんがこたえます。「クルトですよ。こんやは、ここに泊まりますよ。サンタさんがつれてきたお客さんですよ。」クルトがごあいさつ。「こんばんは。 おばさん、さっきのひとは、サンタさんじゃないよ。サンタさんのお手伝いのひとだよ」コンコン、ノックのおとがして、4人のサンタさんがはいってきました。プレゼントその1、「きみのおとうさんのおとうとさんの住所がわかったよ。いちど手紙をかいてみたらどうだい」プレゼントその2、「手紙を書くための、切手と、封筒と、びんせんと、えんぴつ。」プレゼントその3、「そしてこれが、鍵のかかる特製のかばん」プレゼントその4、「雨にも負けない特製のレインコート」「かばんと、レインコートですか?」なんかかわったプレゼントだなぁと、クルトはふしぎそう。「きみがほしいものが、わからなかったので、役に立つものを勝手にえらんできたよ。」「?????」コンコン、ノックのおとがして、郵便屋さんの制服を着た、ちいさなおじいさんがはいってきました。「はじめまして、クルトくん。わたしは、郵便局長です。サンタさんにきいたら、しごとをさがしているそうだね。」ちょうど、きみに頼みたいことがあるんだ。このグスタフさんを手伝って、郵便の配達のしごとをしてくらないか。」「ぼくが、ゆうびん屋さんのおてつだいをするんですか」「そう、郵便の配達は重いものはないから、きみでもできるしごとだよ。お給料もでるし、グスタフさんの家でお世話になって、グスタフさんといっしょに仕事をするんだよ。」「わぁ。」クルトは、声をあげて笑いました。「サンタさんとサンタさんとサンタさんと、、えーと、たくさんのサンタさんありがとうー」「ぼくたちにあったことは、内緒だよ。ほんとは、静かに寝ているよい子のところにしか、サンタさんはこないんだからね。ごはんをたべたら、すぐに寝ること。かぜをひいたら、しごとはできないよ。」さいごのプレゼントをとどけたサンタさんたち、うっふっふ、みんなは顔をみあわせて、わらいました。15)サンタさんたちがかえるとすぐに、つかれていたクルトは寝てしまいました。ぐっすりとねいっているクルトのねがおをみながら、グスタフさんは思っていました。「クルトはどんな大人になるだろう。お医者さんになるのかな、大工さんになるのかな、船乗りさんになるのかな、でも、もしも、クルトが郵便屋さんになるようなことがあったら、いつかは、この子も、サンタさんのお手伝いになってくれるかもしれない。」グスタフさんは、長生きして、クルトがおとなになるのを、見とどけようとおもっています。グスタフさんのたのしみが、きょう1つ、ふえました。配達を頑張ったので、神様がおおきなプレゼントをくれたのかもしれません。>>>>おしまい