「日本アルプス」明治の33年~44年に、もうこの言葉が使われていたなんて。
文明開化のひろまりは、どんなスピードだったのかと。
でも「八つが嶽」の表記には時代のへだたりを感じます。
言葉や風習には、解ききれないものがあります。
「ハリコシ」「ノッペイ」は、方言的なものでしょうか。
蚕の繁忙を乗り切った時季の「祇園祭」、「毒消売」なども、
時代の向こうに薄れていったよう。
「草鞋掛けのまま炉辺で」と書かれていても、
板間の囲炉裏ではないだろうけど、
土間に腰を下ろすわけでもないだろうし、
なにか箱にでも腰かけているのかな。
「柿は植えても渋があがらない」って、
渋くないのはいいことだと思うのだけど、あまりよくないことのように書かれている。
明治も遠いし、信州も遠い。
時代も、地理も、大きな隔たりがあります。
で、読者に向けて語りかける作者のことばが、
橋を架け渡す。
「私は今、小諸の城址に近いところの学校で、君と同年位な学生を教えておる。」
「私は君に古城の附近をすこし紹介した。町家の方の話はまだ為なかった。」
中学生向けの雑誌に掲載したときに、工夫されたのだという。
遠いくにからではあっても、呼びかけてくる文章が、すんなりと、興味を引かれます。
だれか、信州生まれの知人に訪ねたずね、読めたら楽しいかも。
祖父、祖母に信州の方がある人ならば、ぜひ。 (つづく)
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