思い込みの強い自分である。タイトルに「物語」とあるんだから、「細腕繁盛記」の現代版みたいなものだろうと思い込んでいた。
図書館で、産業の書架に並んでいるのも、職員さんのカンチガイだろうと、思い込んでいた。
内容は、ホテルを舞台にした物語ではない。
ホテルに宿泊した思い出をまとめたものでもない。
あえて名づけるなら「調書」だろうか。
とある企業のPR誌に連載されてものらしい。なので、それぞれの節ごとに独立していて、全体が大きなまとまりにはなっていない。
主な材料は、以下の4件。
1)初代社長が残した多くのメモ。
2)著者および友人の利用体験。逸話。
3)古参の従業員さん数名へのインタビュー。
4)初代社長の家族である奥さん(2代目社長)、娘さん、お孫さん(3代目社長)へのインタビュー。
文中で筆者・常盤新平さんが語られているように、材料に手を加えることなく、まとめられている。
なので、初代社長の性格や理想、会社の個性的な研修システム、お客さんである著名な作家さんたちの思い出、そのた諸々、いろんなものがチラシ寿司のごとくに。
こういった内容なので、感想をまとめることは、あきらめます。
この本を手に取られる方に、1つだけご注意いたします。
「あとがきにかえて」は、先に読まないようにしてください。
連載の最後に、総集編的な内容になっています。自分は先に読んでしまったのですが、初読のハラハラドキドキが失われてしまいました。
すでに図書館に返本済みで、手元にありません。文言は記憶だより、振れ幅をもってご確認ください。
( 6月22日~7月4日 )
山の上ホテル物語 [ 常盤新平 ]