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カテゴリ:ネタバンク。
2次会はカラオケだった。
もうみんな出来上がってて、それぞれ好き勝手に曲を入れてたんだけど、 カラオケだなんておれ久々だったから、何歌おうか迷っちゃってさ。 そしたら隣のコが、たぶん気遣ってくれて「何歌うんですか?」って。 「何にしようかな~」なんてつまんない答えしか出来ない自分にがっかりしながら、 近くにあった歌本をパラパラめくってたら、最初の方に知ってる名前があったから。 歌ったことなかったんだけど、取りあえずバラードじゃなかったし入れてみた。 画面の右上に表示された曲名。 それを見て隣のコが「この曲って、歌詞にジンジャエールが出てくるやつですよね。」って。 きっと、くるりの『ばらの花』と間違えてるんだってスグわかったけど、気遣って くれてんだってこともわかったから「そうだったかもね。」って、嘘をついた。 お酒も結構飲んでたから、順番が回ってきた頃には、そんな会話も忘れてるかなって…。 20分くらい経っただろうか。 手拍子打ってたりしてたのなんて最初だけけで、もう誰も他人の曲なんか聞いてない。 皆それぞれおしゃべりに夢中で、歌ってる本人だけが主役だなんて錯覚を抱いてる。 おれも隣にいたコも、それぞれ誰か別の人と話した。 なのにおれの前の人が歌ってる時に急に「次ですね。」って。 今更曲も変えられないし、何より気遣ったのに間違ったなんて絶対に思わせたくない…。 そして…、もう1つ嘘をつくことにした。 誰も聞いてないし、ジンジャエールってフレーズをどっかに入れる。 「センキュー!」おれの前の主役が歌い終わった、愛想拍手が鳴る。 幸いみんな話で盛り上がってて、画面なんて誰も見ちゃいない。 真っ黒になった画面に、映し出されるタイトル。 印象的なエレキのアルペジオと共に、嘘つきの挑戦が始まった。 …。 翌日の…朝…いや昼前。 眠気眼を擦りながら体を起こし、インターネットを開いた。 そして…「やっぱりね。」と苦笑を浮かべた嘘つきは、再び枕に着陸した。 2005年『BEST CONCEPT VIDEO』。 その栄冠を手にしたPVは、前夜、酔っ払い全員の目を釘付けにするという、 もう1つの偉業を成し遂げた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年10月07日 21時18分55秒
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