感覚。
ある日、仙台までの電車に乗っていた時のこと。車窓から見えるものの、感覚を思い出してみた。土を手で掘ったときの湿り気、スコップが石に当たった時の響き、校庭での砂ぼこりのにおい、田んぼに足を踏み入れた時の感触、緑のフェンスを登った時のたゆみ、ガードレールを触った後のべとつき、笹の葉手を切る痛さ、夏のアスファルトの熱さ、冬の木漏れ日の温かさ、電柱の冷たさ、たんぽぽの茎をちぎった時のにおい、川の石のぬめり、トンネルに入った時の冷たさ風と木の音、木に触った感触、ビニールシートのにおい、天道虫が出す黄色い液のにおい、雨が降り出した時のにおい、鉄の錆のにおい、河原で石の上を歩いた時の音、棘が刺さった時の痛さ、点字ブロックを踏んだ時の感触、蔦をはがす時の感触、ショベルカーの蒸し暑さ、ミミズのぬるぬる感、トンボを捕まえた時の躍動感、草原に転がった時の解放感どれも、いつの間にか経験していて、当たり前のものになっている。知識もついているから、経験せずともわかるものも。でも、これから経験する子どもたちにとって、その一つ一つが、大きな感動になる。冷めた大人なんかじゃなく、感動を分かち合える大人でありたいな。