秋の音
秋の音が聞こえる一昨日まで蝉の音が聞こえていた…。耳を澄ますと…秋の音耳を澄まして聞いてごらん…聞こえるでしょ?秋の音夏が通り過ぎてゆく…風鈴の音は、雨と雷の音でかき消されていた北京上空に打ち上げられた花火の音子供の頃に走り回った湘南の砂浜に打ち寄せる波の音は、聞くことがなかった。入道雲が西からの風で東に流れていくと…高い青空に秋の雲が線を引く…。ひこうき雲よりもっと高くに…うす~く白い無数の線をひく…。秋…虫の音が冷めた風と色をつれてやってくる。実り…雪どけの大地を耕して植えた緑が…明日は今日より穂先を重たくして垂れていく。もうすぐ…秋の囃子が聞こえるよ。秋の音耳を澄ますとかすかに聞こえるね。明日、日が暮れたら…耳を澄まして聞いてごらんまた音がきっとふえているよ。ひとつ…そしてふたつ…と。ふえてるよ。風が次第に温度を失って…少しづつ少しづつ冷たくなっていくと…一色…二色と秋の色がふえていく…。街や野や山が秋色に包まれるのは…もうすぐ。